笑顔創造って、エーちゃうん!のエーちゃんです。
遥か彼方の国で……。
大きな湖の南の国に
住む彼は
隣の国の荘園で
組頭として働いています。
彼は自分を
「普通」だと思っている
ちょっとした変態で
変わり者でした。
【一、水晶に映る世界】
鑑定士の部屋で
水晶を覗いた組頭は
なんだこのへんてこな顔は
と呟きました。
鑑定士はいざないます。
「まぁ見ていなさい」
さぁーと
彼の顔が消え
現れたのは
光の模様でした。
しばらくすると
光の模様は水に流れるように
動き始め
また一つの模様となりました。
するとまた
光の模様は
風に吹かれたように
動き始め
また一つの模様となりました。
するとまた
光の模様は
強く光り出し
火が消えるように
また一つの模様となりました。
「どうじゃ、これがおまえさんだ」と鑑定士が言う。
「はぁ?」と鼻水が垂れ始める組頭。
「一つとして同じものはない。だから美しい。それはあなたの一つの見方であって、全てではない。常に変わる模様が織りなして、あなたになるのだ」と鑑定士。
【二、万華鏡という「魔法の筒」】
鑑定士は
傍らにあった
古びた筒を
組頭に差し出しました。
「お前さん、**『万華鏡』**というのを知っておるか?」
組頭は
鼻をすすりながら
不思議そうに
その筒を受け取ります。
「……万華鏡? 聞いたことはありますが、覗くのは初めてです」
「片目を瞑って覗いてみなさい」といざなわれ
「真っ暗で見えません」
「開けてる方で覗くだよ」
筒をゆっくりと回すと
組頭は思わず
声を上げました。
「おおっ! さっき水晶の中で見た模様と似てますな! くるくる回るたびに、形がどんどん変わっていく……。これは、どういう仕組みなんです?」
【三、 仕組みの解説:ピースの入れ替え】
鑑定士は
万華鏡の底を
パカッと開けて見せました。
「中にはな、色とりどりの小さな『ガラスの破片(ピース)』が入っておる。筒を回すたびに、この破片が重なり合い、鏡に映って無限の模様を作るのじゃ。試しに、別のピースに入れ替えてみよう」
鑑定士が
いくつかの破片を
入れ替えると
覗き窓の中の景色は
一変しました。
「なるほど……。中に入れるものが変われば、見える世界もガラリと変わる。面白いもんですな」
【四、四つの巻物:自分を形づくる「四つの海」】
組頭が納得したところで
鑑定士は咳払いをして
四本の古びた巻物を
机に置きました。
「さて、ここからが本題じゃ。お前さんという万華鏡の中に入っているピースは、大きく分けて四つの**『界(かい)』……すなわち、四つの『うみ』じゃ。海から成り立っておる。まずはこれを見よ。『言語理解の界(げんごりかいのかい)』**」
組頭は
口を半開きにして
首を傾げました。
「ゲンゴ……? 難しい呪文ですな。呪文はよく唱えますよ」
鑑定士はため息をつくと
筆を執り
さらさらと書き直しました。
【ことばのうみ】
「お前さんは、人よりもうんと深い『ことばのうみ』を持っておる。そこには数えきれないほどの言葉の雫が漂い、お前さんはそこから自由自在に美しい真珠(言葉)を拾い上げることができる。だから、お前さんの書く文(ふみ)や話は、人を惹きつける力があるんじゃ」
組頭は
照れくさそうに
頭をかきました。
鑑定士は
二つ目の巻物を
指差しました。
「次は**『知覚統合の界(ちかくとうごうのかい)』。……いや、【かたちのうみ】**じゃな」
「バラバラの破片を見て、一つの景色を思い描く力だ。お前さんは、目の前の無秩序なものから『意味のある模様』を見つけ出そうとする。それがお前さんの強みになるところじゃよ」
「……なるほど。バラバラのパズルを組み立てるようなもんですな。でも、三つ目のは……なんだか嫌な予感がしますぜ」
三つ目の巻物には、**『作動記憶の界(さどうきおくのかい)』**とありました。
鑑定士は
組頭の顔色を見て
優しく書き添えました。
【とどめるうみ】
「一時的に光を手のひらに載せておく力じゃ。……お前さん、物をよく忘れたりしないか? あれこれ考えてると、前のことを忘れる。今日は何時の約束だった?」
組頭は、飛び上がらんばかりに驚きました。
「あ! 水晶はまだかと、仕事のこととか、考えてたら、1時間間違えてました……先生、すいません!」
「気にするな。一度に持てないなら、一つずつ丁寧に運べばよいだけのこと。忘れてしまうなら、メモしておきなさい。お前さんの『器』の形を知れば、無理に詰め込む必要はないとわかるはずじゃ」
最後に、四つ目の巻物。
『処理速度の界(しょりそくどのかい)』――【はやさのうみ】。
「万華鏡を回す速度じゃ。世間は速く回せと急かすかもしれんが、お前さんは、一つ一つの模様をじっくりと味わいたい性質なのだな。無理に速く回せば、せっかくの美しい模様が滲んでしまうぞ」
組頭は
深く
深く頷きました。
「俺のリズムで回していい……。そう言ってもらえると、なんだか肩の荷が下りるようです」
【五、空気を読み過ぎると読めなくなる】
四つの説明を終え、
鑑定士は満足そうに
頷きました。
「さあ、自分の『四つの海』が混ざり合った、本当の姿をもう一度覗いてみるがいい。さぞかし眩い七色の海が見えるじゃろう?」
「水晶ですかい?」
「水晶は追加料金になるぞ、万華鏡だよ」
組頭は
言われるがままに
万華鏡を覗き込みました。
じーっと
覗く組頭。
「七色の海?七色?どこに七色?7つも色ねぇじゃん。7つの色が見えない変態だと思われる。そもそも、俺色覚異常で色わかんないし、まぁとにかくなんか答えないと、どう答える………」
と延々と組頭の頭の中は
ぐるぐる回るのです。
そして
顔を上げると
困ったような顔で
言いました。
「……あの、鑑定士さん。七色の海って言いました? 7つも色なんて見えやしませんぜ。せいぜい、三色ってところかな」
【七、見えている世界の肯定】
鑑定士は一瞬
戸惑う顔をしましたが
すぐに膝を打って
豪快に笑い出しました。
「はっはっは! そうじゃった、お前さんはそれでいい。そもそも人とは違う『色(色弱)』の持ち主じゃったわ」
鑑定士は
優しく組頭の肩
を叩きました。
「七色に見えることが正解ではない。三色しか見えないことが間違いでもない。お前さんが『三色に見える』と言えば、それがお前さんの真実。その三色で描かれる模様が、世界で唯一無二の、お前さんだけの万華鏡なのじゃよ」
気の利いたことを
言う必要もない。
正しい応え
などないのです。
それはそれで
いい。
まいっか。
自分の笑顔で周りの人の笑顔を創造しよう。
笑顔を創れば幸せが伝わっていく。


