(あっ、ああ~)
安城アンナは、熱いなかにも何だか、甘く痺れるような快感があることに気付いて、眉間を富士山のように吊り上げ、悶えた。
一方、その頃、
屋根が崩れ落ちていく様子を車の中から見ていた横山美雪と大槻ひびきは、車を降りて外に出た。
ドモンも飛び出してきたが、両手は背中に回され、ピンクの手錠がかけられており、顔にはSMの鼻フック。
ドモンは、豚のように鼻を尖らせ、
「あんちくしょう!」
と、叫んだ。
今、三人がいる場所は、ロシア大使館に程近い道路上で、幸い後続車はなく、緑の大型トラックの前を走っていたであろう他の車両も巻き込まれてはいない。
間もなく、消防が駆けつけるだろう。
横山美雪としては、迅速にターゲット(安城アンナ)を始末して、引き揚げる必要があった。
皮のジャケットにジーンズ姿の美雪は、ボウガンに新しい矢をセットすると、教会のシスターに目配せをした。
大槻ひびきは、かがんで修道服を捲り、右足のホルスターから銀色に光る、スミス&ウェッソン回転式拳銃を抜いた。
美雪は、意外な顔で大槻を見て、
「へえー、もうそれを出すんだ?」
と、きいた。