御無沙汰いたしました。
いつの間にか、お祭りの時期になっておりました。

坊やの手術は無事終わり、その後さまざまな、そうです、胸を抉られるような心配を繰り返し、やっと退院に至りました。
多勢の方の祈りに支えられ、乗り切ることができました。
感謝いたします。

朝に夜にとの病院通いが終わり、やっと自分のペースに帰る日々となりました。
少しづつ読み進めている本の中で、心に響いたものが幾冊かございます。
一番新しいところでは、アグネス・キースの「三人は帰った」です。

ボルネオで日本の捕虜として、3年以上も過ごした日々が記録されております。
幼い息子を連れての飢えと極度の不衛生と重労働。
夫が英国の森林監督指導官として、快適な生活を送っていた彼らが捕虜生活を強いられるのです。
そんな中、作家としての使命感から記録を執り続け、それを日本軍に見つからないよう隠し続けるのです。
飢えは凄まじいもので、生き物であれば何でも食べ物にしてしまいます。
自分たちで畑を作りながらもその成長を待っていられず、茎や葉を食べてしまうという惨状です。

終戦となり、連合軍からの支援物資が飛行機から落とされます。
パラシュートに書いてある文字は「パン」でした。
飢えている彼らでしたが、それを争うことなく、今までに習慣になった分け合うという形が維持されます。
ただ、印象深かったのは、彼らは「肉体よりもはるかに多くの精神が飢えていたのだ」という一文でした。
そのため、「パン」という文字が「忘れているのではありませんよ」と読まれた、というのです。

3.11以降、たくさんの方々が、芸術を被災地に持ち込んでくださいました。
その価値を改めて認識した一文でした。
人はパンだけで生きるのではないのですね。
人が動物と違うところは、精神の飢えも覚えるということでしょう。