子供の頃のご馳走は、カレーライスでした。
今はレトルトなり、カレールーなり、たいへん手軽になりましたが、私の子供の頃は、母が小麦粉とカレー粉を混ぜてフライパンでペーストを作るのです。
それは大変な作業でしたので、忙しかった母には滅多に作ってもらえるものではありませんでした。
ジャガイモ・人参・玉ねぎ・そして豚肉の入った黄色いカレーライスです。
小麦粉の味がまろやかで私たち子供にとってはご馳走でした。
誕生日など、特別の時におねだりして作ってもらうのです。
お赤飯も特別なご飯ではありましたが、カレーライスはそれに比べてハイカラでした。
お皿でいただくということ自体、なんだか世界観が拡がったような気分になったものです。
父は仕事で仙台にいた際に食べたカレーが本物だと、母のカレーが出るたびに言っておりました。
こんな黄色ではなくもっと焦げた感じだというのです。
本物のカレーってどんなのだろうと、子供心に好奇心が湧いたものです。

初めてカレールーが登場した時に、やっと本物のカレーとやらに出会えたと思いました。
それからはカレーライスは大変手軽な料理となり、 「今夜はカレーにでもしようか」 というセリフがよく聞かれるようになったのです。
勿論、特別のご馳走にはならなくなりました。
私は母のあの黄色いカレーが懐かしくて、どんなカレールーが登場しても母の黄色いカレーにはかなわない、と思っておりました。
それで、 「今夜はカレーにでもしましょうか」 と言われるたびに、母のお手製の黄色いカレーが食べたいと懇願したものです。
しかし、あの面倒な黄色いカレーライスが食卓に上ることはほとんどなくなりました。
あるとき、やっと懇願が受け入れられて母が小麦粉とカレー粉から作ってくれたことがあります。
勿論、昔通りの美味しいカレーライスではあったのですが、あの恋しさは薄れてしまい、最近の簡単なカレーも悪くないと思ってしまったのです。
確かに、カレーぐらい、味が違っても舌に馴染むものはないですものね。

ちなみに、我がアフタースタジオでお出しするカレーは、牛肉ときのこのカレーです。
昔のじゃがいもがたくさん入ったカレーと違って、いくら召し上がっていただいても胸焼けせずに楽しんでいただけることと存じます。



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