良い映画を見ました。
1997年作品、イランの「運動靴と赤い金魚」という映画です。
貧しい家庭の男の子アリとその妹ザーラの物語です。
アリがザーラの赤い靴を靴屋さんで修理してもらっているところから映画が始まります。
アリは赤い靴の修理が終わると、パン屋に行きパンを分けてもらいますが、イランのパンの焼き方がとても面白いのです。壺の様な中に型台にのばしたパン生地を貼り付け、焼けるとナンのようなパンをその壺から取り出すのです。
それを、アリは何枚かとって風呂敷のようなものに包みます。
それから、八百屋に寄って、ジャガイモを買うのですが、その際、店先にパンと赤い靴を置いたところからこの映画のテーマに入っていくのです。
ビニールに入った赤い靴を、ビニールを集めて歩いている男性が間違って持って行ってしまうのです。
アリとザーラにとって靴は大変貴重で、それを無くしてしまったことからアリは自分の運動靴をザーラと共有することになります。
二人の学校は時間差があるのか、ザーラがアリの運動靴をはいて学校へ行き、途中でアリがザーラの帰りを待って運動靴を受け取り学校へ行くという、なんとも忙しい毎日が始まります。
父親は働けども家賃を滞納するほどの貧しい暮らし、母親は病気で無理ができない。
アリは、靴を買って欲しいとは言えないのです。

アリは、勉強で優秀な成績をとり、ご褒美にきれいなボールペンをもらいます。
それを、靴をなくしてしまって不自由している妹のザーラにあげるのです。
ある日、ザーラは無くなった自分の赤い靴を履いている女の子を見つけます。
アリと共にその子の家を訪ねて見ると、その子は盲目の父親と共にいるのです。
二人は、黙って帰ります。

しばらくして、学校から選抜でマラソン大会に出るという企画があります。
三等賞になると、運動靴がもらえるのです。
何時も、アリの運動靴をめぐって二人で走り回っているので、足には自信があります。
アリは、選抜に選んでもらい、その大会に出場するのです。
接戦の末、アリは優勝してしまいます。
三等賞ではなかったのです。
がっかりして家に帰るとアリは、家の前の水場の池に、無理して走って傷んだ足を入れます。
その池ではアリの足を包むように、赤い金魚が泳いでいるのでした。
まるで、無くしてしまったザーラのあの赤い靴のように。

アリと父親が、副業に庭の手入れ仕事をしようと自転車で街に出ていく場面があるのですが、高いビルの立ち並ぶ街を過ぎると、近代的で裕福な家が並んでいます。
アリの生活とはあまりに違う場面を見て、イランという国を見たような気がいたしました。

靴をめぐっての、何とも優しく心温まる映画でした。


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