目の前の容疑者を見て、徹は意外に冷静だった。
「じゃあ、尋問を始めるけど、いいね?」
「もちろん。」
移送する直前で、白柳は、綿に逃がすのかを悩んでいた。
しかし、綿は微笑んで、それを却下した。
「あいつが尋問するなら、きっと大丈夫、そして尋問してくるのが、きっとあいつだ。」
義孝と比べるほど、彼との付き合いが長いあの人なら、きっと彼の考えを理解できる。
綿は迷わずそう信じている。
だから彼は席でのんびりしてて、この実験所を観察している
「まずは、この事件について、提供できる情報を言ってもらいます。」
「わかった。僕は木曜日に手紙を受け取った、白柳恵弦と書いてね。彼は妻の目を治せるある物質を見つけたみたいで、僕たちに来てほしいと言った。だから今日で、僕と妻は電車に乗ったわけ。」
徹と桜内は思わず一緒に頷いた。何故なら、白柳恵弦に尋問してるとき、もらった情報と一致してるから。
綿は二人を見て、少し微笑む。

波彩の通報で、警察がすぐ現場に来たとき、一番目の目撃者白柳恵弦は自分の研究室に座っていて、警察に提供する資料を準備していた。
二番目の目撃者、黒駒紗穂は、灰野波彩と一緒に、一階で警察たちを待っていた。
この事件を複雑だと感じる警官は、まず白柳恵弦に尋問した。
その尋問の結果も当然、徹に渡した。
「君が白柳恵弦か?」
「はい。」
「この写真を見て。この人を知っていますか?」
「僕の生徒、白土由起夫です。見分けやすい背中です。」
「わかった。では、昼の頃何があったのかを、言ってくれませんか?」
「今日は来客があるかもしれないので、僕は少し準備をして、十二時頃に実験所についた。二階に上がった時、黒須さんの接待室から変な感じがして、とりあえずノックしてみたが、返事がありませんでした。」
「実験所に入って、すぐ二階に上がりましたか?」
「はい。実験が成功したばっかりなので、さらに進みたいと思いまして。」
「わかりました。続いてください。」
「黒須さんと付き合いが長いので、ドアを開けたら、彼が死んだのを見つけました。」
「しかし、君は通報しなかった...?」
「それは、僕が振り向いたとき、黒須さんの生徒、黒駒さんに会ったんだ。彼女に見せたくなかったが、見させてしまいました。彼女は衝撃を受けたか、僕に殺人犯とか叫んで、一階に行った。彼女が警察と救急車を呼んだので、僕は資料を集めると決めました。」
「黒須教授には何か妙なことでもありますか?あるいは競争者?」
「妙...とは感じませんでした。彼と一緒に実験をしてる黒駒さんなら、何かがわかるのかもしれませんね。」

「...わかりました。ところで、来客があるかもしれないって、どういうことですか?」
白柳は、綿を誘った由来を語りました。
「わかった。今日はここまで、何かがわかったら、いつでも言ってください。」
尋問をしてる警官が頷いて、別の警官が、紗穂と波彩を連れて入った。
その二人が入ったと同時に、白柳はそう言った。
「犯人の正体も、あなたたちに言いますか?」
「...!どういうことですか?誰が犯人か知ってますか?」
「まぁ、そうですね。」
「早く教えてくれ。もしそれが本当だったら、この事件も簡単に解決できますから。」
「...」
白柳は少し考えて、そして顔を上げた。
「彼女たちに入らせたのは、僕の身分を確かめるためですか?」
「誤魔化すな!」
警官は白柳を睨むが、白柳は少しも怖がっていない。
「身分を確かめたいならさっさとしてください、休みたいです。暇があったら話そうか。」
「...!」
白柳に協力してもらえず、警官が少し手段を使おうとしたとき、別の警官が入ってきた。
「報告です!この事件は佐藤徹警部に任せました。」
「な...!探偵と協力して、いくつ難件を解決した佐藤先輩か...」
事件を別の人に任せたら、たとえここで真犯人がわかったとしても、その功績は警官のじゃなく、徹の功績となる。
つまり、誰が聞いても同じことだ。
「...もういい。君たち、この男を見なさい。彼は本当に白柳惠弦ですか?」
「は...はい。」
「そうです。」

綿は、電車でやなが見つからないことを語った。
もちろん、白柳が警察を演じてることも、やなはその死者じゃないことも言わなかった。
「妻が殺されたというのに、そんな風に笑えるのですか!?」
桜内は綿を見て、納得できなかった。
探偵をやるって、そんな風に冷たくなるのでしょうか?
「桜内、落ち着いて。彼にとって妻がどれほど大事なのか、僕はちゃんと知ってる。」
こういう状況で、徹に考えられる可能性は二つあった。
一つ、その死者はやなじゃないこと。綿の余裕も当たり前になった。
一つ、その死者はやなだが、綿は今までのやなを思い出し、彼女のために笑って生きることを選んだ。
徹が望むのは、もちろん、前の方だった。