小さな部屋で、ホタルは一人ぼっちで、天井を見上げていた。
急に、彼女は今日がクリスマスということと、輝星の質問を思い出す。
「サンタさん、これがプレゼントか...?」

「...この袋はともかく、死体を見つけたのがあなたですか?」
義孝はすでに現場にあるものを記録してるのを見かけて、綿は質問する役を引き受けた。
「はい。」
「なるべく詳しく、経緯を語ってくれませんか?」
「はい。私は八時から始まるドラマを見てて、ちょうどエンディングの頃で楓が戻ったと覚えていました。」
「楓さんは夜九時頃に戻りましたか。それで?」
「ドアを開けた声がしたので、私は玄関に行こうと思ったが、楓はリビングに来てくれました。仕事があるからと言って、そのまま部屋に行きました。」
「うん。」
「十時半頃、私が寝ようと思ったところで、急に楓の部屋から大きな声がしました。何かを投げているみたいです。」
「投げている?普段は機嫌が悪い時でそうします?」
「しませんでした。」
「わかりました。続けてください。」
「声はすぐ止まったので、楓が何かを倒したのかと思って、見に行かなかった。」
「うんうん。」
「十一時の時、私の部屋の窓から隣に見れば、楓の部屋にまだ灯がついてるのが見えるので、心配してノックしたけど、応じてくれなかったし、ドアも鍵がかけていました。」
「ふむふむ。」
「鍵を取ってドアを開けたら、部屋中めちゃくちゃになってて、楓は倒れてたし、血まみれで、私はすぐ警察を呼んで、警察さんたちもすぐ来てくれたんだけど、楓はもう...」

綿は駒場さんの肩を、軽く叩いた。
「何かが起こったのを知ったと同時に、全部が終わったと知る時は、辛いよね。」
駒場は、目が少し赤くなった綿を見つめる。
「でも、強くならなくちゃ、でしょ?」
綿は少し微笑んで、義孝の隣に行った。
「どう、どこが変なところでもある?」
「あります。まずは、この花がおかしいです。」

「この花はボロボロになってるけど、切られたり、枯れたからじゃなさそうです。」
「打たれたのですか...」
やなは俯いて、少し考えた。
「花の名前はなんですか?」
「ペチュニアと、死者の母親が言いました。」
「なるほど、だったらありえますね。」
「ありえ...ます?」
「他に何か疑点でもありますか?」

「この花がこんな惨状になった理由はわかった、他には?」
綿は義孝を催促してる。
「あと...」
義孝は天井と壁の隅にある、エアコンを指さした。
「エアコンがついてますね。見つけた当時ですでにつけていましたか?」
「はい、だから警察さんは、調査が終わるまでそのままにしてと言いました。」
「そうですか。楓さんは普段エアコン使いますか?」
「楓は暑さに苦手じゃないし、余計な金を使いたくないから、普段は使いません。」
「そのわりに、濾過器は随分きれいですね?」
綿は隣にある、義孝が外した濾過器を指さした。
「それは、楓の彼氏は去年、北ヨーロッパから帰ってきたから、いつも日本が熱いと言っているので、楓は彼のために濾過器を定期的に洗って、彼氏が来たらエアコンを使います。」
「つまり昨夜、楓の彼氏が来た可能性は高いですか?」
「...そうと思いませんね。」
駒場さんがはっきりと否定したことに、綿は少し驚いた。
「どうしてですか?」
「楓は彼氏をこっそり家に連れて来ることをする必要はありません。デートすら私に相談しますので。」
「なるほど、彼女は昨日、彼氏とデートしに行ったことも、あなたは知っていますか。」
「はい、もちろんです。彼氏へのプレゼントすら、私と一緒に買いに行きました。」
「...何を送ったのか、教えてくれませんか?」
義孝は綿に戸惑う目線を送る。これはそんなに大事なことじゃないと思ってるから。
綿も当然気付いたが、それを無視した。
「はい。楓は、服を選んだと言いました。」

「...綿は?」
「あいつは現場に行きました。あ、わるい、君の前でこんな呼び方しました。」
「いいえ、気にしませんから。」
やなは頭を回して、現場の仕事を綿と義孝に任せると決めた。
そして彼女は、ここでしかできない仕事をする。
「...佐藤さん、死者の彼氏を連れてきましたよね。昨夜、彼女とデートした人。」
「はい、瀨間という男です。死者と同じ会社で働いてる、同僚からの評価は高いです。」
「瀨間さんは...この件について何を言いましたか?」
「彼は酷く泣いていました。しかし、彼は死者を家に送ってからすぐ自宅い戻ったと言いました。」
「歩いて?」
「歩いて。その辺りは監視カメラがないから、照明はできませんけど。」
「彼の家に行きました?」
「いいえ。彼はニュースから事件を見かけて、すぐ警察署へ来たと言いました。」
「...怪しいですね。」

「...怪しいね。」
「うん?誰ですか?」
義孝は綿の方を見る。
「当たり前でしょ?ほら、GLOWWORMに行こう。」