「これでも真田家の人か!」
父に殴られたやな、瞳の傲慢は減らせず。
「やなを殴らないでください。この子もわざとじゃありませんから...」
「わざとじゃない?こいつのせいで、俺らは皇家に目を付けられたんだ...」
やなは隙を見つけて、家から逃げ出した。

「...大丈夫?」
やなは見上げて、優しそうな女性と、心配そうな男性と目を合わす。
「大丈夫です。」
「ふふ、じゃあ待ってて。」
その女性は、カバンから小さな新聞を取って、そしてその男性の手元から饅頭を新聞に置いて、やなに渡す。
「春になったけど、まだ寒いから、暖かくにしてね。」
「そろそろ行くぞ、緑。」
「わかった。じゃあお先に、体を大事してね。」
その女性は歩きながら、夫と話していた。
「ケイとホタル、あの子よりちょっと年上かしら?」
「うん、そうかもね。」
「あ...ホタルがないと、私に娘なかったんだよね。」
「...そうだね。」

やなは手元の饅頭を見て、少しずつ食べる。
食べ終わったあと、彼女は新聞に書いてることを見ていた。
「...自殺...未遂?」
写真にある、最上階で笑ってる男の子を見て、やなも笑顔になった。
「きっと、つよい人なのだろう。」
自殺未遂とかはわからないけど、やなはそう感じた。
彼女はポケットにある紙に、願いを書いて、まるで七夕のように、笹を桜の木に付けた。

そのあと、やなは中学に入った。
小さいころに、一人憧れな人がいたと覚えてるが、その名前はすでに忘れた。
しかし、新聞に「朝田綿」という名前を見たとき、彼女は懐かしく思った。
そしてやなは、綿が解決した事件を調べ始めた。
あの日から、朝田綿は、やなの憧れになった。

卒業式のあと、やなはその桜の木の下に通りかかる。
「どうしてこの桜の木は、枯れないのでしょう…?」
少女の独り言と同時に、拍手の音が響いた。
そして、拍手してる男も、木の後ろから歩き出した。
男を見た瞬間、少女ははっと息を飲んだ。
それは、彼女が誰よりも恋してる顔。
現役探偵·朝田綿の顔だ。