「やな姉さん...?」
やなは携帯をホタルに渡し、そして赤蝶の声の方向に微笑む。
「大丈夫、安倍さんたちのことは、手伝ってもらう人がいた。」
「そう...ですか。」
しかし、協力する人がいると、みんなが一安心したとき、やなの携帯はまた鳴った。
「やなちゃん。」
ホタルは再び、携帯をやなに渡す。
「やな!」
「君は...朝日さん?」
同じクラスの朝日から電話、しかもこんな時。やなは不安になる。
「高本さんと約束して、今日は一緒に図書館に行くのに、まだ来ていないの。」
「家に行ってみましたか?」
「うん、近くにいるんだから。もう出かけたって。」
「わかりました。大丈夫、全力で彼女を守ります。」
やなは電話を切って、真面目な顔をした。
「ホタル、赤蝶、篁くん、祐也くん。」
全員は、警戒に入った。
「犯人が動きました。
「赤蝶、うちのクラスの高本さんが誘拐されそうな場所を調べて。
「祐也くんには、車を回してもらいます。
「篁くん、君は部下を連れて、私たちと犯人を囲みます。
「ホタル、私は見えないから、いろいろ手伝ってもらいます。」
みんなは動き出し、ここで終わらせたいと願う。
「そこで右!次は左!」
赤蝶は地図を見て、祐也に命令してる。
そしてホタルは瞬きもせず、町中にいる人全員の顔を見つめる。
「あ!そこ!」
ちょっと暗いところで、ある男は車に入ろうとしてる。
ホタルは監視カメラを見たことがあるので、一瞬で気付いた。
「ホタル、篁くんたちに道を防ぐように。」
やなはすぐ命令を出した。
そして、ホタルが電話してるのを聞いたやなは、次の対策を考える。
たとえ篁が待ってるだとしても、逃げられるかもしれない。
となると、この車に、追う以外の役目が...
「赤蝶、これは君の部下の車だよね?」
「え、はい、皇家の車です。」
ホタルは電話を切った。
「ホタル、車の中を探して、武器があるはず。」
「武器...?」
ホタルは戸惑ったが、狙撃銃を見つけた。
「この形は...狙撃銃?よかった、使える人はいるか?」
しかし、この三人は誰も、狙撃銃を使えない。
やなは少しため息して、狙撃銃を窓の外で構えた。
「ちょっと!やなちゃん、君は...」
「見えないね。」
「どう撃つ?」
「言ってましたよね、光になってもらいますよ。」
ホタルは少し止まって、そしてすぐ位置につく。
「私経験ゼロだけど。」
「大丈夫です。」
ホタルは、経験とかじゃなく、直感で行動する人だと、やなはそう思ってる。
「ホタル、直感でいい、これで車輪を打てそう?」
「ダメ。もう少し左。」
「こう?」
「下。」
「こう?」
「いい!」
ホタルがいいと言った同時に、やなは引き金を引く。
「ちょ……当たった……」
赤蝶はびっくりして、目の前にある車がどんどん道から外れ、止まったことを見ていた。
篁の部下たちはすぐ車にある二人を確保した。
一人の男と、昏睡してる高校生だった。
やなは、ホタルに車まで案内してもらおうとしたが、隣に誰かが跪いた声を聞こえた。
そして、誰かが泣いてる声も、届いた。
「誰?ホタル……?」
やなは見えないから、ホタルが泣く理由ですらわからない。
「どうして君なの?」
「兄さん。」