「つまんない。」
やなが十回目を言った。
「綿はどこに行きました?」
「さぁ、目覚めたら彼が見当たりませんでした。」
綿が消えたと気付き、義孝はすぐ調査を始めた。
しかしメモもない、携帯ですら通じない。
「あぁ...つまんない。」
十一回目。
義孝は紅茶を淹れた。
「謎を語ってあげましょう。僕の経験なんですけど。」
「義孝の?」
「はい。朝田と知り合ったきっかけです。」

ある日、遙の神社で仕事してる義孝は、仕事を終わって、町中で散歩してる。
しかしながら、彼はある店の前に立ち止まった。
「Dear Cat」という名前で、ペット猫を預ける店だった。
このような店はそう珍しくもないが、義孝は足を止めた。
その店で、犬を見かけたから。
「犬...よね?」
「パピヨン、スペインからの犬。猫に似てるでしょ。」
義孝は慌てて顔を上げた。自分の囁きが聞こえられるとは思わなかった。
「かわいい犬だな。当ててみないか、どうしてこの店に犬があるのか?」
綿はただパピヨンを見つめて、笑って聞いた。

義孝はやなを見て、答えを待っていた。
やなはすぐ、これが最初の謎だとわかった。
「えっと...」
猫に似てるとはいえ、所詮犬。間違うはずがない。
「おぉ!店主の犬か?」
「半分正解です!すごいですね...この答えすら時間かかったんだけど。」
「半分...」

暫く立って、義孝はやっとひらめいた。
「店主の犬ですか?」
「うむ。推理としては悪くないが、違った。」
「違うのですか?」
「それは僕の犬だ。」
「え...!」
「店主に、あれは犬に似てる猫と言った。」
義孝は笑いを抑えて、立ち上がった。
「面白い人ですね。」
「どうも。面白いと言えば、ひとつ質問してもいいか?」
「どうぞ?」
「鞄を持ってる男がいた。その鞄にたくさんの漫画がいた。その男は面白いか?」

「義孝、待って。」
「うん?」
やなは急に義孝を止めた。
暫くして、彼女は改めて顔を上げた。
「綿は鞄を持ってるのですか?」
「はい。」
「じゃあ続けてください。」

義孝は数秒考えた後、頭を振る。
「やっぱり仕事と関してるものを持った方がいいでしょ?」
「漫画の仕事をしてる人なら?」
「それは仕事で、面白いとは言えないでしょう。」
「そうですか。残念ながら、君は面白いとほめてあげた。」
綿は手元の鞄を開いて、そこにたくさんの漫画があった。
「いぇーい!当たった!」
「やなちゃんは本当に賢いですね。」
「でも...」
やなはなんとなく、綿のことをそう簡単じゃないと感じてる。
「その鞄は、綿のものじゃないですよね?」

鞄を見た瞬間、義孝は遊ばれたと気付いた。
「もう...どうりでこのような質問をしますね。漫画の仕事をしてるのですか?」
「いいえ。僕の仕事と漫画は関係ない。」
「じゃあ鞄に入ってるのまずくないですか?」
「これは僕のものじゃない。」
「君の...じゃない?」
「そう、友達の代わりに持ってるんだ。急用があると言って行っちゃった。」
「そうですか...。」
「ところで、その男を見て。」
ずっと店の前で、店を背向けてる二人は、右側に見ていた。
歩いて、近づいた男がいた。彼は左手をポケットに置いて、周りを観察してる。
「どう思ってると思う?」
「左手は、店に近い側ですね?」
「はい、右手は道に近い側です。」
「でしたら、彼はただタバコが吸いたいだけです。」
やなは自信満々で言った。

「どう思ってる?うん...わからない。」
「タバコを吸いたいだろう。この人は?」
今度、この二人は左側を見ていた。
歩いてきた男がいて、同じく左手をポケットに置いた。
「違くない?」

「違いはありますよ、義孝。」
「そうですか?」
やなは頷いて、説明した。
「最初の男の左手は店側で、たとえ左利きでも不便です。
「しかし、二番目の男の左手は道側で、銃撃するに便利です。」

綿に聞かれた義孝は男を見て、何一つ思い浮かべなかった。
義孝が「わからない」を言う前に、綿はすでに飛び出して、銃を持ってる現行犯を掴んだ。
「本当にありがとう。」
「いえいえ。」
綿が通報したあと、警察たちはすぐ駆け付けてきて、その長官は綿を何度も感謝した。
「っていうかこれ...持って行かないと、鶏の餌にする。」
「あぁ、ごめんごめん。」
その警察が鞄を引き取って、犯人を連れ去っていた。
「すごいですね。」
義孝は悟った、綿がここにいるのも、最初からは全部犯人を逮捕するためだった。
「すごい?とんでもない。君もすごいだってことを証明する、ラスト質問にしよう。」
綿は義孝に笑った。
「どうして君に声をかけた?」
見知りな人が溢れている町で、義孝を選んだ理由。

「バカに見えそう...?」
「やなちゃん、さすが僕でも傷付きますよ。」
「そうじゃなくて...えっと...なんででしょう?」
「正直、僕もわかりません。」
「えぇ?」
「朝田はただ、なんだか黒沢さんは話しやすい人だって。」
「そうですか...それ絶対嘘です。」
「なんで?」
「言ってなかったんでしょ?君の名前。」
やなは無力に笑った。