「悪いな、やなくん。そう言ったのに、何も手に入れなかった。」
「大丈夫ですよ。お疲れ様です。」
やなは珍しく紅茶を淹れた、疲れたみんなのために。

「それで、今日はどこに行きましたか?」
「一応は金閣寺にもう一度行って、そのあたりの人にも聞いてみたが、何もなかった。」
「そうですか。つまり、今の所、手係は初日のだけですね。」
やなは深く考えてから、言い出した。
「やっぱり行く必要があります。」
「どこに?」
「木野沙織のマフィアの所です。」
そこにいる全員は、やなの言葉に驚いた。
「ちょっと、やなちゃん。冗談じゃないよね?」
ホタルは眉をひそめた、その提案の危なさを知ってるから。
「冗談じゃないです。私一人行けばいいんです、みんなを巻き込みたくありません。」
光は急に笑いだし、その目に何かが光った。
「さすがやなさん。よし、私安倍光も全力協力します。」
みんなも次々と笑った、やなを一人にするはずがないと。
それで、明日の目的地が決まった。

「やなくん、大事なことを聞きたい。」
みんなが部屋に戻ったあと、綿はやなを引き留めた。
「大事なこと?」
「今日、白石さんに聞かれた。
「君は僕にとって、どんな存在なのかって。」
「...」
「今更なんだけど、僕たちの関係がわかってい...ない。」
「友達じゃありませんか?」
「かもしれないけど、友達ってちょっと適当すぎ。」
「うん…しかし助手でも違ってきましたね。」
「僕も、助手じゃないと思う。」
「私たちは…憧れの側とされる側じゃありませんか?」
「でも…!」
「綿を憧れている私はただ、近くにいただけです。」
綿少し驚いた顔をした。
「やなくん、君はいつも僕の思考以外なことをわかっているね。」
「もちろんです、真田やなですから。」

部屋に帰った綿はすぐ眠りにつけなかった。
やなと解決した事件を思い出した。
「本当に、恐ろしい心だな。」
犯罪者の心を気付く人は、純粋の善ではなくなる。
それを気付けば気付くほど、心が汚れてしまう。
数多く事件を解決できるやなは、誰よりも暗い心を持ってるのでしょう。
綿はそれを心配していた。
「ただの...憧れか?」