数年前のある冬、二人の少女は神社へ行った。
「やな見て!お守り!」
「珍しくないでしょ?」
「そう冷たくないで!」
個性は正反対が、やなとひなはとても仲がよかった。
それは、アイドルユニットを結成する前の話。

「やな、どこに行くの?」
「うろうろしてくる。あとでここで合流だ。」
やなは昔から願いと似てることが好きじゃなかった、意味がないと思っていた。
ひなと暫く別行動した彼女は、絵馬を見ていた。
「一つ書きたいの?」
やなは振り向いた。雪の中に立ってる、彼女より少し年長な少年がいた。
「いいえ、そういうの好きじゃないですから。」
「おぉ?願ってもどうせ叶えないとか?」
「はい。だからお守りも嫌いです。」
「うん...ちょっと違うな。」
「どういう意味?」
「お守りは絵馬と違って、願うものじゃないんだ。」
少年は笑いながら、お守りをやなの手元に置いた。
「願うものじゃないなら、お守りはなんのものですか?」
「祈る。」
少年は微笑んでいた。
「だから、願いをしてるのは君じゃなくて、僕だ。」

やなが再び目覚めたとき、すでに翌日の昼頃だった。
不思議に、彼女は体調がすごくよくなった。
「もしもし?綿?出かける許可を強く願います。」
「言ったでしょ?休んでいろと。」
「随分よくなりましたので、心配しなくても大丈夫です。」
「ダメだ。今日くらいは僕たちに任せて。」
「私はただ…!」
「わがまま言うな!子供か?心配してる人をバカにするな!」
怒りに耐えられず、綿は電話を切った。
一方、やなはまだ戸惑ってる、綿はなんのために怒っていると。

「朝田さんは珍しく怒りましたね。」
明は少し驚いて、怒ってる綿を見ていた。
「やなくんがどうしても出かけるからだ。心配してて損した。」
「しかし朝田さん、やなさんは君にとって、一体どのような存在を?」
撫子は彰子を明渡し、綿に問いかけた。
「どんな存在……?」
「きちんと言わないと、やなさんも自分の立場がわかりませんよね?
「助手と言ったが、時にはそうじゃないと感じます。
「助手でも競争相手でもないなら、彼女は一体君の誰ですか?」
綿は暫く立って、小さな声で答えた。
「誰でも…ない。」