「すみません、部長はルミさんが行方不明になった以来、会社で顔を出すことはありませんでした。
「そこら辺の問題を解決してるんじゃないでしょうか。」
あいにくが、その部長以外な人は全員その場にいるし、怪しいところもなかった。
「容疑者が行方不明ですね。
「しかし、私たちに探す必要ないなんて、少し愚かすぎです。」
冷たく笑ってる光は、義孝を見る。
「義孝、どこにいると思います?」
「人を置いていけるし、誰にもバレず入られない場所だったらいいですね。
「お家とか。」
彼が語った直後、みんなの目が閃いた。
義孝自身まで。

「すみません、安倍光です。」
眩い笑顔をした光は、宣伝部門の部長の家の入口で立ち、他の人たちは視線の死角に隠している。
光に任せるのは、遥の提案。
扉が緩やかに開けた。
「おはようございます。何がご用はあるのでしょうか?」
「聞いたところ、ルミさんが行方不明になりましたよね?宣伝部門には色々大変だと思いまして。
「それで差し入れを持って、大丈夫かを確かめに来ました。」
光の笑顔は太陽のように暖かくて、しかし隠した連中から見ればどこまでも嘘っぽい。
「大丈夫です、いいんです。
「しかしあなたの言うとおり、少し忙しいので、入らせてもらえませんが。」

「私じゃダメで、ルミなら大丈夫ですか?」
相手が止まった際、光は力強く扉を開けて、義孝はすぐ相手を抑えた。
「ご安心ください、私たちは安倍光さんの友達です。」
ホタルはこっそり部屋に入って、ルミを見つけ出し、口にある新聞を取り出して、彼女を慰める。
「義孝、こっちは私たちに任せて、君は警察に。」
遥は踏み出し、義孝のかわりに犯人を抑えた。
「ちょっと、その前に、まずは何かを言ってもらおう。」
綿は陰険に微笑んで、犯人の隣にしゃがむいて、携帯の録音アプリを使う。

「青山結衣を脅かすためだ。」
宣伝部門の部長、苗木は言った。
「宣伝写真を撮る直前、青山結衣は撮らないとか言った。
「もちろん訳を聞いた。しかし彼女は、安倍光となら無理と言った。
「青山シスターズだけではなく、安倍光だって大事で、そんな理由で諦めるわけがない。
「上にも言ったが、どうにかしろうって。無茶言うな。
「どうにかしないと、俺の仕事もなしだ、だからそうしたんだ。」

苗木が罪を認めたあと、義孝も佐藤に電話かけて、事情を説明した。
真犯人が現れたと聞いて、佐藤はすぐ結衣をGLOWWORMに放し、苗木の住所へ向かった。
結局、結衣が警察に連れられたことはバレたが、真犯人が掴まれたので、無事にすんだ。
というわけで、義孝のタイムリミット事件解決は一応成功した。

「本当に色々、迷惑かけてしまいました。」
結衣が謝ったと同時に、ホタルもコーヒーを持ってきた。
「失礼ですが、どうしてユイさんは写真を撮ることを断るのですか?」
結衣は顔を上げて、ホタルを見て、少し悩んだあとで言った。
「みなさんは、音楽界で有名なユニット、UNIVERSEをご存知でしょうか?」
「もちろん。星の名前を持つ八人は、色んな楽器を演奏する。」
綿は少し微笑む、こういうことに詳しいから。
「そうです、そして安倍光こそUNIVERSEのリーダー、MARSです。」

「そのことを世界にバレたら、色々面倒になります。
「しかし、この三人揃えば、必ず気付かれます。
「何故なら、私たち三人ともUNIVERSEのメンバーですから。」
可能性があるなら避けるべきだと思って、結衣は断った。
綿はふっと、やなが書いた言葉を見かけた。

「自分の利益まで捨て出して、ただ友人のために。
「それもまた、ひとつの愛ですよ。」