麻生久美子出演作品で、ボクの頭の中から消去されている作品がふたつある。それは『リング』と『怪談』で、この二作品だけは、別にボクが見なくても支障ないよね、ということにしてある。当然、恵太君にも言ったことがないし、ボクが言わない以上、恵太君がこのふたつをわざわざ借りてくることはあり得ないはずであった。


が、今や恵太君もいっぱしの「麻生久美子ウォッチャー」である。考えてみれば、DVDを借りるにあたり、「どの麻生久美子にする?」と、いつまでもメールで尋ねてくることの方がおかしいわけで、彼が余程のオカルト嫌い、あるいは、怖い映画嫌いでもない限り、いつかはこの二作品にぶち当たるのが当然と言えば当然である。


で、昨日がその日であったわけで、恵太君が借りてきたのが『怪談』であったわけだ。さっきから急に薄暗くなってきて、なにやら雲行きが怪しい。


『怪談』見るのにちょうどいいんじゃない?


恵太君はやけに嬉しそうである。


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なにしろボクはこの手の映画が苦手である。遡れば明らかに『エクソシスト』を観たせいであるが、この類の映画を好んで見る人種の気持ちが全く分からない。ついでに、バンジージャンプするやつ、ジェットコースターに乗るやつの気持ちも全然わからないので、ボクの理解を超えた人種は結構な数に上るとは思う。


そんなことはさておき、恵太君のおかげで『怪談』を見るハメになったのであるが、一応、怖さしのぎに仕事のふりをしてPCのキーボードを叩きながら中途半端に横目で見た。まぁ肝心の場面ではモニターを睨んでいたので本当のところはわからないが、ボクが目にしたシーンだけで言うと、さほどでもなかった。昔見た『エクソシスト』の首回転シーンや「ファックミー」に比べたら、なんてことなかった。画像が鮮明過ぎて、つくりもの感丸出しだったからかもしれない。こういう映画は画像が荒いほうがいいのかも、と余計なことを考えたりした。


恵太君は、「2007年作品か・・・、この頃は麻生久美子がパーフェクトな時期のはずなんだけど、そういう良さがあまり出ていなかったな」、と、シビアな感想のようだった。


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雲行きは怪しかったが、別にゲリラ豪雨になることもなく、ボクたちはいつもの台湾料理店に出かけた。先週、体調がむちゃくちゃおかしかったので、ボクは恵太君に、日曜の夜から金曜の昼までは禁酒することにしたから、と断って、ビールも紹興酒もやめにしておいた。恵太君は、なんで?とか、どうかしたの?とか、体調でも悪いの?とか、願掛け?とか、余計なことは一切聞かないで、黙々とビールを飲んでいた。


ビールでも飲みながらなら麻生久美子話でもっと盛り上がったんだろうが、この日は五目そばと小籠包だけを静かに食べ、店を出たところで恵太君と別れた。


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つづく