こういうのでいいんだよ、を体現したゴジラ映画

 

「ゴジラ-1.0」は「永遠の0」「寄生獣」などの山崎貴さんが監督・脚本・VFXを手がけ、神木隆之介さんが主演、浜辺美波さんがヒロインを務めた一作。

 

ストーリー:戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。

 

面白かったです。

 

シンプルにゴジラってこういうのだよなあ。って感想を持ちました。正直、「シン・ゴジラ」やってからまだそんなに経っていないのに、何でこれやる必要あるんだろう?って思っていたんですけど、「ああ、これがゴジラだなあ」って思いました。もちろん「シン・ゴジラ」面白かったし、それはそれで違うベクトルの映画なんで、どっちがいいとかないんですが、今の自分には結構ストンと落ちてきたんですよね。

 

今観るなら「シン・ゴジラ」よりもこっちだな、みたいな。

 

なのに何で「シン・ゴジラ」よりもこっちの方が評価低いんだよ、って感じですけど、これはもうあの時のテンションを読み返してみると仕方ないです。あの時は☆5だったのよ。いや、今も別にその評価が下がったわけじゃないんだけどね。で、今もう一回観たらまた「やっぱシン・ゴジラすげえよ」ってなるのかもしれないけど、とにかく今の状況で観たかったのはこういうゴジラだなって思ったんです。

 

意味わからんかもしれないですが。

 

じゃあ何でそう思ったのか、っていうと、時代なんだと思います。

 

「シン・ゴジラ」の時と比べて結構政府に対する期待感みたいなのが薄れてきちゃっているのがあると思うんですよね。いや、ここで政治論話したいわけではないんですけど、とりあえず自分の思いを正直に書いてみようと思うので、ご容赦ください。これでいやだったら全然読まなくても大丈夫なので。

 

というか久しぶりにレビュー書くのに政治論書くなよって感じではあると思うんですが。

 

で、話を戻すと、あの頃の災害の記憶ってやっぱり東日本大震災じゃないですか。で、東日本大震災の時は民主党政権が全然上手くやれていない感じで、でも自民党政権なら災害に対して色々上手くやってくれるんじゃないかっていう幻想があったと思うんです。でも、コロナ禍を経験して、なんか別に自民党政権だから上手くやってくれるわけでもないんだな、っていうところとか、昨今の政治不信を募るようなニュースの増加も含めて、政府への期待感がだいぶ薄れてきた感じがしていて。

 

そういうところで、やっぱ民間人目線で災害に立ち向かうっていう物語がストンときたって感じはあるんですよね。今「シン・ゴジラ」が公開された場合、「結局そんな上手くやれないっすよね」ってなるような気もするし。いや、「シン・ゴジラ」面白いんですけど。

 

っていうわけで、なんか時代とめちゃくちゃマッチした感じがしたんです。特にコロナ禍を経験して、災害みたいなもの、命の危険みたいなものは違う形だけどリアルな体験として得ているから、結構すんなり入ってきたんですよね。

 

ゴジラという存在が結構リアルに受け入れられた。

 

で、まあある意味復興途中でもある現在だから、時代的にも重なるんですよ。戦後っていうのが。

 

そこにゴジラ来ちゃった。っていう絶望がさ、妙にリアルで。ああ、しんどいよな、って思えたんですよね。

 

人によっては人間ドラマのところがあんまり好きじゃなかったりするかもしれないけど、僕自身は結構素直に感動しちゃって。多分単純なんだと思うけど、やっぱりこういうド王道な感じっていいよなって。ゴジラっていう圧倒的な存在を前にすると、人間ドラマはシンプルにド王道行った方がいいし、それはそれで結構丁寧に描かれていたから、楽しめたんですよね。

 

作戦とか「マジ?」って感じだったし、「そんなことならんやろ」って思わなくはなかったけど、そういうとこつっこむのも野暮な感じがして。このド王道な流れに身を任せたいって思えるくらい、しっかり作ってくれているっていうのがありました。

 

そんなわけで、思ったよりもずっとずっと面白かったし、観てよかったな、って思う一作でした。

 

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