タイムループというファンタジックな設定を、リアルな進行で身近に感じさせた良作

 

「MONDAYS このタイムループ、上司に気付かせないと終わらない」は竹林亮監督によるSFコメディ映画。主演を円井わんさんが務め、マキタスポーツさん、長村航希さん、三河悠冴さん、しゅはまはるみさんらが出演している。

 

ストーリー:小さな広告代理店で働く吉川は同業他社からヘッドハンティングをされるなど、のし上がろうと野心を持って働いていた。いつものように会社に泊まって起きた月曜の朝。いつものようにクライアントからは急ぎの仕事を押し付けられる。そんな中、後輩の遠藤と村田から「僕たちタイムループしている」と告げられる。聞く耳を持たない吉川だったが、ある月曜日の朝、鳩が窓ガラスにぶつかったのを見てタイムループの事実に気付く。

 

面白かったです。

 

アイディアが本当に良くて、きちんと練られた作品だなと思いました。タイムループに気付く流れなんかも、すごく自然で、リアリティを感じましたね。僕が観たのは11月だったんですが、いまだにロングランしているのもうなずけます。

 

話の流れもリアルだし、登場人物もリアルなんですよね。ああ、いるよね、こういう人って感じの人がたくさん出てきます。

 

タイムループの原因は部長だ!ってなって、それで部長を説得するために役職が1つ上の人を説得していくという構成も上手いですね。そんな回りくどいこと……って思うんですが、確かに1つ役職が下の人から言われた方が納得しやすいというのは何となく説得力があるんですよね。だから1人ずつ攻略していこうっていう流れが自然にできていて、見やすかったです。

 

こういう風に小さいリアルを積み重ねてくれると、ファンタジーがより身近に楽しめるからいいですね。タイムループっていう物語の核がファンタジーだから、脇はしっかりリアルで固める。何もかもがファンタジーだったら全てがついていけない作品になってしまうので。

 

それにしても広告代理店ってこんな大変なのか、って思いました。そして面倒な人多すぎる。一方で、こういうトラブルに巻き込まれたことで、初めてお互いのことを知るというのもリアルな感じがしました。確かにこういう忙しい仕事って雑談とかそんなにしないだろうし、お互いのことなんてあまり知らないよなって。

 

タイムループが一週間単位というのも斬新で良かったですね。同じことの繰り返しになりがちな一週間があって、そのせいで気づかないっていうのもリアルな感じがしました。どうしても仕事をしていると同じ週を繰り返しているような感覚になることありますもんね。まあそんな感覚になっていると「あれ?もうこんな週!?」みたいに焦ることになるわけですが。

 

何だか最初は変な人多いなって思ったけど、だんだん登場人物のことを知っていって、それで愛着がわいてくるのも良かったです。基本はオフィスでの密室劇だし、低予算でもアイディアが良ければ面白い映画が撮れるっていう典型的な例だと思いました。まだやっているところではやっているようなので、お暇があればぜひ。

 

「RRR」もそうだったけど、ようやく今もやっている作品をリアルタイムでレビューできるようになってきたぞ。

 

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