主人公が嫌いすぎて物語とずっと合わなかった作品

 

「マイ・ブロークン・マリコ」は平庫ワカさんによる同名漫画の実写映画化作品。「ふがいない僕は空を見た」などのタナダユキさんが監督を務め、永野芽郁さんが主演した。奈緒さん、窪田正孝さん、吉田羊さんらが出演している。

 

ストーリー:シイノトモヨはある日、ラーメン屋のテレビのニュースで親友のマリコが亡くなったことを知った。彼女はマリコの家に行き、マリコを虐待していた父親から遺骨を奪って逃げる。そしてマリコの遺骨と共に彼女が行きたがっていた海へと向かった。

 

まったく合わなかったですね。

 

なんか、もうこれは仕方ないんだろうなって感じですが、すごく主人公が嫌いでした。こうなるともうしんどいですね。

 

今作は特に物語を重視しているような作品じゃないから、余計に主人公が合わないときつい作品になってしまいます。物語を重視していないというか、物語の中での起承転結で観客を驚かせようという趣の作品ではなく、主人公の心情や、マリコとの友情を描くことで、観客に何か感じてもらおうという方向性の作品なので、登場人物が嫌いだともう厳しいんですよ。

 

何で合わなかったのか、なんですが、個人的には主人公とマリコとの関係性があんまりしっくりこなかったからだと思います。まず、ラーメン屋のニュースで知るっていう展開が、どうも距離を感じてしまうんですよね。もちろんリアルではあると思うし、原作もそうなんだから仕方ないとは思いますが、この知り方で親友と言われても、違和感しかなかったです。

 

親友だった、くらいの感じならわかるんですが、それなら遺骨を奪うまでのモチベーションに至らないし、なんだかこの展開ですでに脱落してしまっていました。むしろ大して仲良かったわけでもないのに、衝動的に遺骨を奪ってしまった、って展開だったらまだわかったんですが、どうも親友であるという設定に説得力を感じられず。その後のエピソードでもいわゆる一般的な親友のイメージからは少し離れた描写が続くせいで全然共感できませんでした。

 

何の考えもなく刃物を使って遺骨を奪うっていうのもちょっとしんどい展開ですし、その後のことも何も考えていないことにも結構ひいちゃいました。

 

行き当たりばったりすぎる主人公についていけませんでしたし、展開も雑に感じてしまって。マリコの過去を見せられても、なんだか全然親身になって考えられず。

 

一つ、虐待を受ける側がこんな感じだとこういう絶望的な展開になるのか、ってことは考えさせられました。被害者側に原因があるとは考えてはいけないですし、虐待する側が完全に悪いわけなんですが、今作の描き方だと、そういう対応をしているとそこから抜け出せないよ、って感じになっているんですよね。一方で、そこまで理性的じゃない形に人を変えてしまうのが虐待なのかなとかも考えました。そういう意味では考えさせられる内容なんですが、これは終わってから「なんで合わなかったんだろうな」って振り返っている中で「ああ、こういう意図があったのかな」「こうも考えられるかな」って思っているだけなので、観ている時はひたすらに合わない!って感じでした。

 

ただ、多分人によってはすごい刺さるんだろうし、それこそ主人公が好きになったり、共感したりしていたら、心に残る映画なんじゃないかと思います。

 

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