何がしたいのかよくわかんないまま、よくわかんない理由でピンチになっている映画

 

「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」は1983年に設立された社交クラブ「BBC」が起こした実際の事件を元にした映画。「ワンダーランド」などのジェームズ・コックス監督がメガホンを取り、「ベイビー・ドライバー」などのアンセル・エルゴーと、「キングスマン」のタロン・エガートンが主演している。また、性的暴行疑惑がかかっているケヴィン・スペイシーが出演している。これに関しては、彼の疑惑が発覚するよりも前に映画が完成していたことを理由に配給のヴァーティカル・エンターテインメントが声明を出して釈明している。

ストーリー:ディーンは学校に通っていた頃から野心があった。彼は裕福な同級生たちを尻目に、成功してやろうと思っていた。そんな中、同級生で奨学金をもらっていたジョー・ハントと再会する。彼はジョーと共に投資クラブ「BBC」を設立。一気に成り上がるが、そこからの転落も早かった。

 

合わなかったですね。
というか、よくわかんなかったです。僕の理解が悪いのかな。

投資に詳しい人ならわかるのかもしれないけど、説明が圧倒的に不足しているような印象でした。
まず、ビリオネア・ボーイズ・クラブが何をしているのかがさっぱりわかりません。基本的に出資者からのお金を運用せずに新たな出資者からのお金を配当として前の出資者に渡すという、いわゆるポンジ・スキームで運用をしていたようなのですが、それだってしっかり説明してくれていないから、観客が「おそらくそうなんだろうな」って思うしかないんですよね。

まあそもそもポンジ・スキームって絶対に回らなくなるのがわかっている詐欺の手法なので、そこそこ頭が良い設定のキャラクターがそれに突き進んでいってしまうのは違和感が大きいんですよ。
「いやいや、頭悪すぎませんか」って思ってしまう。これが、バカでお調子者、って感じで描かれていればいいんですが「めっちゃ頭いい」って感じに描かれてるから、やってることとの乖離が違和感を生み続けるんですよね。その「頭いい」っていうのも登場人物が言ってるだけで、それを裏付けるようなエピソードが乏しいのも問題なんです。全然説得力を感じられない。

で、挙句の果てにポンジ・スキームなわけなんです。
一応、他に何か策を立ててるっぽい感じの描写もあるんですが、それが非常に曖昧な感じに描かれるので、その策でどうなるのかがさっぱり見えない。企業買収とか金の取引とかケヴィン・スペイシー演じるロンの資金を元手に何かやるっぽい感じとか、色々描写されているのに、何もかもがもやっとしていて、何をしているのかがさっぱりわからないんです。

説明不足。これが圧倒的にこの作品の弱点で、これに気を回さざるを得ないから、キャラクターに感情移入なんてできるはずがなくて、そうなるともうただ何も考えていない犯罪者が転落していく様なんて別に楽しくもないわけです。いや、これがこの犯罪者たちがひどい奴らとして描かれていれば爽快感があると思うんですよ。それが、どちらかと言うと彼らに感情移入して欲しいような描かれ方なんですよね。ここの乖離も大きいです。
「いや、自業自得っていうか考えなしすぎるよな」っていう感覚を持ちながら「よくわかんない事業」をやっている雰囲気を見て、そのよくわかんない事業がよくわかんない理由でいつの間にか失敗してて、よくわかんないままピンチになってて、よくわかんない策がいつの間にかよくわかんないまま進んでいるという、まさによくわかんない映画でした。

わかる人が見たらわかるのかな。とにかく閉塞感しかないし、豪遊するシーンも少ない上に爽快感がないので、かなり個人的には合わない一作でした。スタイリッシュな雰囲気も期待したけど、そうでもなかったしね。
とにかくよくわかんなかったです。

スマートに駆け抜けるシーンなんて一つもないし。

僕の理解が悪いのかな。きっとそうだ。

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