全編画面上で展開される一作。表現方法だけじゃなく、物語も面白い

 

「search/サーチ」はアニーシュ・チャガンティ監督のデビュー作。主演を「スター・トレック」などのジョン・チョーが務めた。共演はテレビドラマ「ふたりは友達? ウィル&グレイス」などのデブラ・メッシング。全編パソコン、もしくはスマホの画面上で展開されるという異色作である。

ストーリー:デヴィッド・キムは妻のパメラ、娘のマーゴットと共に幸せな暮らしを続けていた。だが、パメラが病死。マーゴットとの関係は以前ほど密なものではなくなってしまっていた。そんなある日、マーゴットの行方がわからなくなる。デヴィッドは彼女のパソコンを使用して手がかりを得ようとするが、そこで見えてきたのは、デヴィッドの知らないマーゴットの姿だった。

めちゃくちゃ面白かったです。

PC画面(おそらく一部はスマホ画面)のみで物語が進行するという表現手法に目が行きがちですが、物語も面白かったです。

そりゃ、この表現手法のために多少の無理はあると思っていたんですが、思っていたよりもそういう齟齬というかご都合的な展開は少なく感じました。これは見せ方が上手かったからという可能性もありますが、それにしても脚本がよくできていたと思います。

まず最初のパメラの病気がわかるまでの流れが秀逸ですね。
「カールじいさんと空飛ぶ家」を彷彿とさせるオープニングで、非常に良かったです。ただ、「カールじいさん」と違うのは、このシークエンスの後も同じように面白い作品になっているというところですね。「カールじいさん」はここがピークになってしまっていたので。

今作の成功は「何をどう伝えるか」という情報の整理が非常に上手くできていたところだと思います。
画面のみという縛りがあるため、物語を伝える方法は非常に限られます。また、どういう手法を取ればどういう情報が観客に伝わるのか、というのは単なる実写とはまた違う計算が必要となるので、かなり緻密に計算をして脚本と演出が練られたんだろうと思いました。

情報がはっきり整理されているため、結果としてめちゃくちゃ見やすい作品となっています。PC画面上の視線誘導が明快で、しかもそこに上手く違和感というか、伏線を組み込んでいるので、後半に伏線が回収される時も忘れていることがあまりありません。

基本的にこうしたミステリー寄りの映画は情報をどう伝えるかが肝だと思うので、今作はこの点で大成功しています。
奇をてらった演出手法ではあると思うのですが、それが結果としてとても上手く機能しています。ただ珍しい撮り方をした作品に留まっていないところが本作の魅力ですね。

PCの画面を見ている状況もなかなか面白いですし。

そんなこんなで非常によくできた一作です。気になっている方はぜひ観に行くと良いと思います。オススメの一作でした。

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