全てが中途半端。というか主人公の主張に説得力がなすぎる。

 

「クリミナル・タウン」は「ヒッチコック」などのサーシャ・ガヴァシ監督のティーンエイジャーノワール映画。「ベイビー・ドライバー」などのアンセル・エルゴートと「フィフス・ウェイブ」などのクロエ・グレース・モレッツが主演している。

 

ストーリー:ワシントンD.C.に住む高校生のアディソンとフィービーは幼なじみで、恋人のような関係だった。彼らがコーヒーショップに寄り、初めて肉体関係を結んだその頃、アディソンの親友のケヴィンが殺された。コーヒーショップでケヴィンと会っていたアディソンは、現場に急行する。そこで彼は警察の捜査方針がギャングの抗争によるものであると知った。優等生だったケヴィンがギャングと繋がりがあるはずがないと憤ったアディソンは、自分で調査を開始する。

 

導入は良かったと思います。

が、もう全体的にアディソンの行動が不可解すぎて無理でした。
だって「ケヴィンはギャングと関係なかったんだ!」っていう主張に何の根拠もないんですもの。警察の捜査が明らかに変な方向に進んでいる、っていう雰囲気がないと、観ている側としては結構厳しいですね。ケヴィンのエピソードも全然ないし、「いや、いくら親友だからと言って、ギャングと全く関係なかったなんて言い切れるのか?」と思ってしまいました。

しかも話が進んでいくにつれて、アディソンが知らなかったケヴィンの面みたいなのが出てくるわけなんですよ。そうなるともう「お前何も知らねぇじゃねーか!」ってつっこみたくなります。

いや、まあある意味リアルなのかもしれないし、確かに自分だって友達がギャングの抗争で死んだって言われたら反発したくなる気がするのですが、その反応が過剰なんですよね。何か確信を持って「絶対にギャングと関係ない」と言えるようなそんな雰囲気なんですが、全部勘なんですよね。
例えば、ケヴィンの兄弟がギャングに殺された過去があるから、とか、そういうわかりやすい理由を提示してくれたら、アディソンがそこまで否定することに説得力が生まれるんですが、そういうのもないし。

もうとにかくここなんですよね。情熱がありすぎる。無理矢理刑事に会うアディソンを見て、みんな刑事側に感情移入しちゃうんです。「情報があると思ったから来たのに」っていう。

あと、なんかアディソンとフィービーの関係性もものすごく中途半端に描かれているし、家族のこともすごく微妙なんですよね。
何かありそうなんだけど、何もわからないまま終わるっていう。

いや、別に全てを作品の中で描く必要はないと思うし、逆にそれが想像力をかきたてるような作品も多いと思うんです。でもね、今作は何も描けていないんですよ。全てが中途半端。いろいろなことがよくわからないまま話が進んでいき、「あー、それやったらまずくね」ってことを主人公がやって、やっぱりまずい展開になる。なんか消化不良感がすごかったです。

思わせぶりなものが全て回収されないって感じだったし。

クロエ・グレース・モレッツ好きだから行ったけど、ちょっと厳しい評価にならざるを得ませんでした。雰囲気はよかったし、上手く描けばもっと面白くなった気がしたのですが。

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