邦題は意味不明だが、最初から最後まで楽しめる良作

 

「ダンガル きっと、つよくなる」は元アマチュアレスリング選手のマハヴィル・シン・フォーガットと、その娘2人を描いたスポーツ伝記映画。主演は「きっと、うまくいく」「PK」などのアーミル・カーン。監督は「Bhoothnath Returns(原題)」などのニテーシュ・ティワーリーが務めた。

ストーリー:マハヴィルはレスリングのインド代表選手として活躍した。しかし、国際大会で金メダルを取るという彼の夢は叶うことがなかった。そして月日が流れ、彼に子どもが生まれる。生まれてくる男の子に夢を託そうと思っていたが、4人連続で女の子が生まれてきた。夢を諦めたマハヴィルだったが、ある日、長女のギータと次女のバビータが男の子を相手に喧嘩で圧勝したことを知る。レスリングの才能を感じた彼は二人を特訓し始めた。

 

面白かったです。
やっぱりアーミル・カーン作品は良いですね。徹底した役作りをするために掛け持ちをしないっていうこだわりが今作でも出ています。っていうか、本当に最初の筋肉隆々たるアーミル・カーンがヤバいです。まず壮年期を撮影するために太り、その後で体重を減らして成人期を撮っているみたいで、想像を絶する肉体改造の様子がYouTubeにありますが、このインパクトがすごかったですね。これだけのことをした彼の努力は作品内で報われていたと思います。

これを観るだけでも十分価値があるんですが、内容的にも非常に前向きになれるというか、良いエンターテインメントになっています。
特に日本は割と近年レスリングが強いこともあって、試合も見慣れているんですよね。だから、結構「ああ、そうそう、レスリングってこんなだった」って思う展開があって、良かったです。

割と最初はコミカルな感じだし、スポ根ものだけど、色々な要素が入っていて、気軽に楽しめる一作になっています。

その一方で、インドにおける男女の地位の差なんかも示唆していて、それが思いの外、考えさせる内容になっていました。年頃になったら結婚させられていく女性たちと、父からレスリングをやらされる女性。どっちもどっちな感じはしますが、インドにおける「当たり前」がどのようなものなのか、想像できるシーンになっていて、色々なことが頭をよぎります。

試合のシーンは非常に見応えがありますし、手に汗握ってしまいます。ギータたちのことがもっと知りたくなりますし、何ならリオとかの前に観たかったなぁ、って思うくらい。ちなみに、ギータもバビータも吉田沙保里選手など日本人選手と戦っています。(※リンク先にはこの映画のネタバレになってしまう結果も含まれています:http://www.japan-wrestling.jp/2018/02/20/121803/

あと、悪役のやることが本当にえげつなくてびっくりしますね。奇しくもパワハラ騒動で揺れる日本のレスリング界と重なって見えてしまうこともあり、妙にタイムリーな公開時期になった感がありますね。(インドでの公開は2016年)

ちょっと長いですが、途中もそんなに飽きるところはないですし、良い作品でした。ラストのシークエンスなんかは非常に良かったですし、Wikipediaで書いてある「パキスタンでの上映を拒否した」って理由も観終わるとわかると思います。

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