松岡茉優さんの魅力あふれる良作。イタさに謎の感情移入をしてしまう

 

「勝手にふるえてろ」は綿矢りささんの同名小説の実写映画化作品。主演は「ちはやふる」などの松岡茉優さん。監督を「でーれーガールズ」などの大九明子さんが務めている。共演は黒猫チェルシーの渡辺大知さん、「君の膵臓をたべたい」の北村匠海さんが共演している。

ストーリー:江藤良香は恋愛経験のない26歳。中学校の同級生、イチのことをずっと好きなまま年を重ねてきた。そんなある日、経理課の同僚、月島来留美と共に営業課との飲み会に参加する。そこで霧島という男からアプローチを受けた良香は頭の中のイチと、「ニ」と名付けた霧島との間で揺れることになる。
 

面白かったです。非常に。

いやぁ、松岡さんが本当に魅力的だったんですよね。良い役者さんだ。物語ももちろん面白かったんですが、主演する方によってずいぶん印象が変わるような物語だったので、松岡さんをキャスティングしたのは大成功だったのではないかと思います。
セリフの言い方なんかもよく研究されていて、独特な間というか、テンポというかがあって、それが心地よかったです。かなりイタいキャラクターなのに、そのおかげで観ていて楽しいし、嫌な気持ちにならないという。
コミカルなシーンも、松岡さんのセリフの言い回しが面白いので(もちろん編集やカメラワークもありますが)笑えるシーンになっていました。

ていうかそもそも可愛いし。
なのに、モテないのもちょっとわかるし。そこの説得力は大事なので、上手くオーラを消しているなぁ、と思いました。ニが好きになるのもわかるんですよね。

にしてもよくこんな作品を映像化したなぁ、という内容だったので、監督の力量次第では非常に面白くないものになっていたかもしれません。脚本含め、独特のセンスが光った作品になっていました。

渡辺大知さんも独特の良さがありました。最初は割とキツいというか、こいつはないな、って感じなんですが、時が経つにつれて、受け入れられるようになりました。これによって観客も良香の気持ちを疑似体験しているような、そんな気持ちにもなれました。構成的に上手いなぁ、と思いますね。

にしても、心の声がもれちゃうことってあるよね、って思うし、大暴走する良香が可愛くてイタくて。なんだか色々な気持ちが渦巻く一作でした。

イタい人が結構出てくるので、人によっては受け入れられないかもしれないですし、好き嫌いは分かれる気がします。でも、僕個人としては観て良かったと強く思う作品でしたし、もっとどハマりする人もいると思います。
泣けるシーンかどうかはわからないですが、一部の人にとっては刺さりすぎるようなシーンもあって、泣いている人もたくさんいました。

単館系の日本映画は面白いものもたくさんありますね。おすすめの作品でした。

公式サイトはこちら