何だか話についていくのが難しかった一作

 

「GODZILLA 怪獣惑星」は1954年に公開された「ゴジラ」に登場するゴジラを主題としたアニメ映画。ゴジラシリーズの映画としては30作目となるが、以前の作品との関連性はないと思われる。3部作を予定しており、2作目は2018年5月に公開予定。脚本を「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄さんが担当している。

ストーリー:宇宙空間。そこに浮かぶ宇宙船アラトラム号には人類と宇宙人種族エクシフとビルサルドが暮らしていた。長年の宇宙漂流によって、乗っている人々は疲弊。資源の枯渇に直面していた。彼らはかつてゴジラの登場によって追われることになってしまった地球へと戻ることを決断する。船の支配体制に反抗し、捕縛されたハルオ・サカキ大尉はゴジラの弱点を突き止め、ゴジラの破壊を目標にしていた。そんな彼は、地球での作戦への随行を許される。しかし、彼らが降り立った地球は、亜空間航行の影響によって2万年の時が過ぎていた。そして、人類はゴジラらしき影を発見する。

 

うーん、正直あまり合いませんでした。

多分その原因は、あることが起きないのではないか、と思わせておいて、次の展開ではそれを覆す、という演出手法が多用されていることが影響していると思います。これ、予想が裏切られるという意味では、多少ドラマチックになると思うんですけど、相当周到にやらないと、効果的な演出にはならないんですよね。
というのも、そこには飛躍が生まれるからです。その飛躍を驚きに変えられればいいのですが、それってかなり難しいんですよね。今作の場合、観客が納得できない流れになっているように感じました。

まあそれが一回や二回だったらいいんですが、何度もやられちゃうと、もう物語に入り込む気にならないんですよ。「どうせそっち行くんでしょ」っていう、冷めた目線で観ることになる。こうなると、ファンタジー映画(怪獣映画は広い意味で言えばファンタジーなので)は厳しいです。
「シン・ゴジラ」があれだけ受け入れられたのは、やっぱりそこなんですよ。リアリティーというか、没入感を大事にしている。だから、ストーリー展開で意外性はあっても、納得のできる範囲にしっかり計算して構築されているんですね。今回の「ゴジラ」にはそれがあまりないように感じました。

だって「今更地球に戻って何になるんだ!しかもあそこにはゴジラがいるんだぞ!ありえん!」っていうようなセリフの後に「ついに地球に戻るのか」とかいうセリフが来るんですもん。「は?」って感じですよ。そこの転換を描かないんだったら、ベタかもしれないけど、議論の末に「やむをえん……」みたいな展開をしてくれた方がはるかに見やすいし、入り込みやすいんですよね。

っていうか、そもそも予告編や宣伝の段階でかつて追われた地球で人類がゴジラと戦う話、っていうのは前提として提示されているから、観客全員「最終的に地球に戻る」ってことは知っているんですよね。それなのに意外性を出すのであれば、もっと地球に行かない側が優位に立って、それを覆す何かが出てくるというドラマを描かないとダメなんです。尺の問題でそれが描けない、もしくは主題から外れるのであれば、そこはプロローグとして淡々と処理していくべきなんですよね。

こういうようなただただ納得できない展開をしてくれるので、後半の盛り上がりなんかも全然盛り上がんないんですよね。冷めた目で観ちゃっているから、人類全体が全力を持ってしても負けたゴジラの弱点を一人の大尉が分析するとかいう展開も「んなわけあるかよ」って思っちゃいます。
これが「シン・ゴジラ」的に入り込めていれば、「うおおおお!!熱い展開!!」ってなっていた気がするんですが。

そんなこんなで、入り込めなかった人にとっては粗が目立つ一作でした。ただ、評判は悪くないみたいですし、人によって大きく違う評価になりそうな作品なので、興味があるなら行ってもいいと思います。

まあ「シン・ゴジラ」がなかったら、もっと評価高かったかもしれないけど。

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