響の自叙伝～ After 彈眞空 -2

竹号に「空」を入れる

竹号に「空」を入れた理由は、高橋空山師の一文字であることだが、仏師_円空の空でもある。

ギターを弾いていた子供の頃、神社・仏閣の彫刻に漠然とした憧れがあった。

天に向かって見上げる龍は、どれも個性的だが、共通する規律が存在している。

それが信仰なのだろう。

円空仏を知ったのは、だいぶ後になってからであるが、これにも同じ信仰を感じた。

私に、ひとつ自慢できるものがあるとすれば、芸術作品の物質的な大小・多少に惑わされることなく、平等に世界を観じられることだ。

オーケストラの奏でるベートーヴェンの第九と一本の竹で吹かれる虚霊に、同等の一切を観じとることができる。

令和五年七月三日　久々に虚無僧装束で虚霊を吹いた。