コロナ不況は、だんだん深刻さを増していくと思います。
政府が経済支援策を打ち出しています。政府が経済支援をできるかどうかは、赤字国債を大量に発行できるかどうかにかかっています。
赤字国債は、政府が借金してお金を使うことです。インフレが心配ですね。
「大インフレになるんじゃない? 終戦後、預金封鎖もあったよ」と、あるおばあちゃんが言っていました。
インフレにはなりません。
今回のウイルス不況では、生産設備とインフラストラクチャーは無傷です。大地震があったわけでもないし、空襲があったわけでもありません。供給力は十分にあります。生産側は売上げがありそうなら、大喜びします。
いっぽう生活する側は、先行きが不安なので、お金を必要最小限しか使いません。もし余裕があれば、貯め込みます。
したがって、インフレにはなりません。
むしろ、デフレがいっそう進行するでしょう。
政府が、赤字国債で借金を増やして、財政破綻しませんか?
しません。
いま、新規発行の国債の利子は年0.1%です。100兆円出したとして、年に1千億円の利子で済みます。しかも、国債は銀行や生命保険などが買った後、日銀が大量に買います。利子の半分は日銀に行くことになりますが、日銀は利益が出ると国庫に納めることになっています。
国債の償還期限がきたら、借り換えてもらいます。借り換えを拒否すると、全システム崩壊になってしまいますから、銀行も生保も、被害が自分に及びます。拒否できません。
したがって、財政破綻しません。
じゃあ、政府がいくらでもお金を作れて、経済危機を乗り切って、めでたし、めでたし、になるのか?
そうもいきそうにないのです。こんな無理したことは、どこかでひずみが出るに決まっています。
政府が赤字国債を発行したあと、国債が値崩れしたら、たいへんなことになってしまうのです。国債が値崩れすると、銀行、生保、年金が、軒並み破産します。
国債の売り物が大量に出たら、政府の息のかかったところが、買って買って買いまくって値段を維持するしかありません。あとで日銀が買い上げるから、という暗黙の了解があればやれます。日銀は、相手の日銀口座に数字を書き込むだけで、いくらでも買えるのです。
どういうひずみかというと、銀行の経営困難です。
国債を買って買って買いまくっていると、市中金利が0%近くで維持されます。国債は量が多いので、国債の金利が市中金利の標準になります。
ついに無金利社会の到来、素晴らしい、と言いたいのですが、それでは銀行が保たないのです。銀行が営業していくのに、貸出や債権の利ざやが1%くらいないと、やっていけないと言われています。銀行はあれだけのビルもシステムも維持しなければならないでしょうし、貸出にはどうしても貸し倒れがあるパーセントでつきまといます。
体力のない銀行から、ぱたーん、ぱたーんと倒れていきます。
政府が国債を大量発行してどうなるか?
財政破綻しません。インフレにもなりません。
企業の売上げも増えません、働く人の賃金も増えません。ヂリ貧が続く中、銀行倒産が茶飯事になる。それがこれから数年の見通しです。
あんまり明るい見通しではないのですが、このシステムを超えた新しい経済・社会システムを作っていくのには、絶好の機会になります。
減価マネーとベーシック・インカムを組み合わせた、「生活本位経済」を提唱しています。