台風の一日、外に出られないので、じっくり本を読んでいました。

「発達障害当事者研究 ゆっくりていねいにつながりたい」(綾屋沙月、熊谷晋一郎)

 よい本でした。書いている人が、命を振り絞って生きてきた様を伝えています。

 あまりに触発されるものが多く、読み終わってボーッとしているほどでした。

 

 あとがきに書いてあることが、とても印象的でした。

 アスペルガーの綾屋さんにとっての家事と、脳性小児マヒの熊谷さんにとってのリハビリが、

「周囲からも、自分からも、我が身の不完全さを日々突きつけられ、際限なく要求され、自信を失っていく場所」

でした。

 

 私は私塾、フリースクールをしています。多くの子どもたちにとって、学校がこのような場所になっています。勉強で、あるいは人付き合いで、常に自分の不完全さを突きつけられ、自分はダメだと思うようになるのです。

 家庭が、このような場所になっている子どもたちもいました。

 

 そういう子どもたちに対して何ができるかって?

 その子を改善しようとする人たちの仲間入りをしないことです。

 「君はかくかくだから、こうするといいよ」って言うのがいかに的外れなことであるか、その感覚をお持ちでしょうか。

 

 その子にとっては、それがどういうことか理解する。そうすると、次の局面が展開してくる。そんなものです。