私たちは、いま、新しい常識を必要としています。それは「働かざる者、食うべし」という常識です。
働いていなくても、食うべきなのです。理由はたくさんあるのですが、一番大きな理由は、働いていない人も食っていないと、経済がちゃんと循環しなくなることです。
実際の日本社会では、働かずに食べている人のほうが多いのです。この人たちが食べるのをやめたら、経済恐慌になってしまいます。
国勢調査(2010年)によれば、全人口のうち職に就いている人は45.7%です。学生アルバイトや主婦のパートなどを除き、仕事を主としている人は、38.7%です。
(「ベーシックインカムのある暮らし」古山明男著 より)
職に就いていない人は、家事13.9%、子ども13.1%、老人10/8%、学生5.1%などです。この人たちはなんらかの贈与によって生活しています。この人たちが使ってくれる生活費がなかったら、たちまち大不況になってしまいます。
人間が贈与によって暮らすこと自体は、変なことでも、いけないことでもありません。大事なことは、それぞれの人が、自分にとって幸福な生活をすることです。その幸福の総計が、社会の幸福なのです。
お互いに、生きていることを祝福し合える社会が、豊かな社会です。
ベーシック・インカムを出していいのです。ベーシック・インカムで、すべての人の生存権を具体的に保障しましょう。
そうしたら、みんな働かなくなってしまうって? 人間にとっても、最もつらいことの一つは、自分が必要とされていないことです。働くことを強制されなくても、大部分の人は、働き続けることでしょう。
働く人たちは、少数精鋭のほうがよいです。失業者を出さないために、むりやり雇用にこだわることはありません。ブラック企業をのさばらせることはありません。
残業のない社会を目指しましょう。技術革新と生産性の向上は、利益の増大ではなく、働く人たちの生活の向上に向けましょう。そうすると、いい社会ができてきます。
著書「ベーシック・インカムのある暮らし」