ベーシック・インカム(略称 BI)はいいものだと思い、「ベーシック・インカムのある暮らし」という本を書きました。
ベーシック・インカムは、すべての個人に無条件で最低生活費を支給します。
そうしますと
「えっ、どうしてお金持ちにもあげるの?」
という疑問が湧きませんか。
はい、お金持ちにもあげます。収入、財産にいっさい関係なく、というのがベーシック・インカムの大事なところです。最低生活を送る権利は、すべての人に無条件で保障しましょう。
「でも、お金持ちは、もらっても必要ないでしょ?」
はい、必要ありません。
だから、寄付してもらいます。必要ないなら寄付するのが自然なことでしょう。それは、受け取りを辞退しろという意味ではありません。それぞれの人が「こういうことに役立ててほしい」と思うところに寄付するのです。もちろん、強制ではありません。
辞退してもらうより、寄付してもらうほうが、有意義なお金の流れを作り出せるのです。
どこかの活動団体に直接寄付をしてもいいのですが、たぶん、寄付の受け皿になってお金を配る団体がたくさんできてきます。「うちは、難病対策です」「うちは伝統文化保存です」というように目的を明らかにして寄付を募り、いかに目的にかなって配分したか、会計が明朗なものであるかを競います。
ベーシック・インカムの総額が115兆円として、その5%が寄付されたとすると約6兆円、10%で11兆円が寄付に回ります。これは、とてつもない額なのです。2014年度の文部科学省の予算のうち、科学技術振興費が8千億円、文化芸術関連が1千億円なのです。桁が違います。
いま、どのような社会を実現するかは、政治家と官僚の特権のようなものになっています。それは、政府の予算を編成できるからです。でも、寄付文化が盛んになると、政府予算とは別な経路で、社会事業を支援できます。寄付は、政府予算よりも柔軟性があります。たとえば、動物愛護は、政府の予算としてはやりにくいでしょう。寄付文化が根付くと、様々な社会事業が花開くでしょう。