財政再建は終わりました

財政再建は終わりました

主に経済関連について不定期更新します。

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皆様お疲れ様です。

久しぶりの投稿になりますが、今回は資料解説ではありません。

 

 

さて、何か政策をする際に必ず「財源は何だ?」という話が出ていきます。

例えば何か政策をやりたい際の財源に

「○○税が良いだろう」

「いや、△△税がふさわしい」

という話が出てきます。

○○や△△は何と置き換えてもよいでしょう。例えば、消費税や法人税、所得税や相続税などなど。

この財源論の基本は税金で語られます。つまり、政府の収入が税収だけだと考えているということです。これは間違いです。

そこで、予算制約式を考えてみましょう。歳出と歳入をイコールで結ぶということです。

 

歳出=歳入

 

歳入には何があるのか。ここが財源論です。少し考えてみましょう。

まず、税金(税収)です。政府が企業や家計の所得に税をかけておカネを集めています

次に国債です。税収だけでは歳出を賄いきれない際に政府が債権を発行し、財源をねん出しているのです。金融市場のおカネを国債によって集めているわけです。

また、政府資産の売却もあるでしょう。我が国は莫大な政府資産を抱えています。しかも金融資産です。政府資産はアメリカよりも多いです。この政府資産を売却することも財源となるでしょう。

最後に最も重要なのが貨幣の発行です。これは貨幣発行益、通貨発行益、貨幣発行収入など言われますが、簡単に言うとおカネを刷って、財源にするということです。政府が国債を発行し、それを日本銀行が貨幣を発行し買い取る。国民からおカネを取るわけでも金融市場からおカネを集めているわけでもありません。日銀がおカネをつくる(創造する)ことで財源を確保するということです。日銀を使わなくても政府が政府紙幣という形で直接財源を確保することもできます

 

先ほどの予算政策式に以上の財源を当てはめてみましょう。

 

歳出=税金+国債+資産売却+貨幣発行

 

何か歳出をする際の財源は4つあることがわかりました。

税金は取りすぎると経済によくありません

国債は発行しすぎると財政破綻のリスクや利子率の高騰で経済によくありません。

貨幣発行はやりすぎると高インフレを招く恐れがあります。

しかし、どの財源も適度に取れば経済に悪影響を及ぼしません

欲を言えば、インフレにならなければ全て貨幣発行で政府の歳出が賄えればいいわけです。資産売却で数年間でも税が軽くなれば嬉しい話です。財政破綻のリスクや利子率が低ければ国債発行で歳出を賄っても良いわけです。歳出の面から見ると、歳出した分戻ってくるような人やモノへの投資であれば、市場から資金を借り入れること自体肯定されるでしょう。何も無理して自分の財布を差し出すことはないわけです。

4つの財源を上手く使いながら政策を運営していくことが大切です

 

これから総選挙です。どの政党も財源は税金ばかりです。また、行政改革や予算の付け替えです。それでは我々の所得はちっとも増えません。総需要を刺激しないからです。

予算を欲しい時のほとんどが○○税から取ってきてほしいとか、□□保険にしろとか、××という事業をこっちに回せとかそんなもんです。

みんな貨幣発行国債発行を忘れています。

政府の莫大な資産と日銀の金融緩和により、政府の純債務はほぼゼロになりました。バランスシートはピカピカです。長期の利子率は0%です。市場の政府が破綻する確率を200年の1度と見ています。金融市場は国債が欲しすぎて日銀から分けてもらう始末です。財政破綻のリスクも利子率の高騰もありえません我が国に必要な教育支出インフラ整備防衛費研究開発費は非常に少ないのが現実です

我が国のインフレ率は0%です。上方バイアスを考慮するとマイナス圏です。インフレ率2%の維持を目指す我が国にとって現在は全く物足りないインフレ率です

 

先ほども説明した通り、4つの財源をバランスよく使っていくことが大切だと私は考えています。

雇用は絶好調でありますが、未だにインフレ率は0%、上方バイアスを考慮するとマイナス。消費の落ち込みは増税から3年経っても未だに弱いままです。財政赤字は劇的に改善していきましたが、かえって国債発行を抑制する結果になり、YCCを掲げる日銀にとって買い入れ額減少を引き起こす結果となっております。現に買い入れ額は年80兆円には程遠いです。

物価と消費が弱い中、財源を税金に求めることは危険です。

財政再建の名のもとに国債発行を抑制することは日銀に貨幣発行の余地を減らすことに直結し、金融緩和もままならなくなり、デフレ圧力となります。増税で市場のおカネを集め、貨幣発行の原資である国債の量を絞れば経済が良い方向に行くことは考えにくいです。

今こそ貨幣発行と国債発行を訴えるときであり、それこそが総需要を刺激し、長年にわたるデフレと不況を克服するカギとなります。

つまり、さらなる金融緩和と財政の拡張が必要です。

増税や予算の付け替えなど今やるべき政策ではありません

(※また、税収は景気によって自動的に増減されるような直間比率の見直しをすべきであり、何かの財源として税を取るのではなく、自動安定化装置としての役割に専念したほうが良いと私は考えています。なので、消費税増税ではなく法人税増税で対応しろと言った議論には賛同しません。つまり、金持ちからむしり取れといった話には一切賛同しないということです。それをするくらいであれば貨幣と国債を財源にした方が経済全体のパイを大きくすることにつながると考えています。また、貨幣発行を財源とした場合、インフレが必ず起こります。貨幣発行益の別名はインフレ税とも言いますが、インフレ税がかかるのは富裕層です。再分配機能としてもインフレは優れているため、金持ちからむしり取れというのであれば、貨幣をしっかり発行しろと言った方が良いと考えております)

景気に左右されずに税金を取り、低所得者ほど負担を負う消費税は廃止にすべきでしょう。

 

財源には貨幣発行と国債発行があり、それを十分に使える余地があることを我々が認識し、訴えていかなければなりません。

そして、おカネを必要としている教育、インフラ、国防、科学技術などにもっとおカネを使うべきです。そして、減税や給付金などの景気対策にもおカネを使うべきなのです。

貨幣発行と国債発行こそが我々の所得を引き上げるのです!!

 

 

財政再建終了や財源論の詳細は以下のツイートにあるまとめを参考にしてください。参考文献やデータを提示してあるのでわかりやすいかと思います。

 

 

 

 

「財政再建を問う-財政赤字よりも大切なこと」という143ページにわたる長い資料が2万viewを超えた記念に資料の解説ブログをしたいと思います。
概ね資料の目次に沿って解説していきます。
解説は不定期更新です。

 

資料の20~26ページの解説です。

 

今回はストックのデータを見ていきます。

ストックの財政状況を見るのに最適なのが貸借対照表です。
バランスシート(B/S)とよく言われるものです。

バランスシートは資産と負債を見ることができ、財務状況を把握するのに優れています。

さて、政府のバランスシートは「国の財務書類」という形で公表されており、平成12年の試案から財務省のHPで公開されています。「国の財務書類」となったのは平成15年からです。

この「国の財務書類」より広範囲な「連結財務書類」というものを使って、財政状況を把握していきたいと思います。

平成27年度のものが平成29年の3月30日に出ましたので見ていきましょう。

 

 

こちらが財務省のHPにある概要です。

少しまとめたものを出します。

 

 

平成27年度は資産が959兆円負債が1424兆円純債務が465兆円だということがわかりました。

当時の名目GDPが532兆円ですので、対GDP比は87%です。

俗に言われる「国の借金1000兆円!!」はバランスシートの片側だけの話であり、資産の話を全くしていないということがわかります。

資産を持っているということは信用につながり、財務の持続可能性を担保するものです。

 

では、日本が国際的にどれだけ多くの資産を保有しているのか見てましょう。

 

 

日本は債務も多いですが、資産もかなり多いことが見て取れます。

 

 

純債務で見ると、日本の財務状況はさほど悪くないことがわかります。

 

 

日本がどれほどの資産を保有しているかわかるように、他国の資産を円建てにしてみました。

すると、日本のGDPの3倍であるアメリカよりも莫大な資産を保有していることがわかります。

日本が財政危機だと数十年言われているのにもかかわらず、財政破綻しない理由は政府資産が莫大であることではないかと考えられます。

 

しかし、「資産はあっても売れないものばかりである」という話はあまりにも有名であり、財務省が真っ向から反論していることから、「資産を差し引くのは適切ではない」と思われる方が少なくないと思います。

こちらについては次回の記事で解説します。

 

今回のポイントは

  • 日本のストックの財務状況も世間で言われるほど悪くないということ。
  • 日本は莫大な資産を保有しており、それが財政の持続可能性につながっているということ。

次回は政府資産の中身について解説していきます。

 

参考文献

 

 

IMF「World Economic Outlook Database」

http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2017/01/weodata/index.aspx

財務省「平成27年度「連結財務書類」の概要」

https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2015/20170330gaiyou.html

財務省「関税定率法第4条の7に規定する財務省令で定める外国為替相場」

http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/kawase/kawase2016/kouji-rate20160327-0402.pdf

 

主に参考にした資料は以上です。

「財政再建を問う-財政赤字よりも大切なこと」という143ページにわたる長い資料が2万viewを超えた記念に資料の解説ブログをしたいと思います。
概ね資料の目次に沿って解説していきます。
解説は不定期更新です。

 

資料の15ページから19ページの解説です。

 

さて、今回からは実際に財政に関するデータを見ていきます。
今回は財政収支です。
よく耳にする財政赤字とか財政黒字は財政収支の話です。
財政収支について簡単に説明すると、税収に政府支出を差し引いた値です。
 

財政収支=税収-政府支出
 

財政収支>0 財政黒字

財政収支=0 財政均衡

財政収支<0 財政赤字

 

黒が良いとか赤がダメといった類はいったん忘れていただいて、政府支出より税収が大きければ黒、税収のほうが小さければ赤という機械的にデータを見ていきましょう。

 

財務省より、決算が出ている平成27年度の歳出と歳入の状況を見てみましょう。
歳出が98.2兆円、一般会計税収が56.3兆円。

ということは、
財政収支=56.3兆円-98.2兆円=-41.9兆円

名目GDPは530.5兆円ですから、財政収支対GDP比は-7.9%ですね。

……。

実は、これではしっかりとした財政収支を見ることができていません
歳出に債務償還費地方交付税交付金等が含まれています。これらは歳入と重複してしまいます。また、歳入に税外収入地方税社会保険料を含めた一般政府ベースでみる必要があります。つまり、一般会計ベースでみると、財政赤字が過度に表現されてしまうということです。正確な財政収支を見るのであれば、この方法は間違いです。


では、一般会計ベースの財政収支をどうやって見ることができるかといえば、IMFのデータベースにアクセスすることです。

残念ながら、データは2015年度で止まっているので、2015年のデータになってしまいますが、ご了承ください。

歳入が175.7兆円、歳出が194.4円です。

財政収支=175.7兆円-194.4兆円=-18.7兆円

IMF2015年度の名目GDPは530.5兆円ですから、財政収支対GDP比は-3.5%です。

一般会計ベースだと、財政収支は-41.9兆円ですから、

23.2兆円も財政赤字が水増しされていたということです

この一般会計歳出と一般会計税収を比べるのは「ワニの口」に使われる指標です。世間ではワニの口が開いて大変だ!と大騒ぎするわけですが、そもそもかなり水増しされた値であるということです。

 

さて、ここで国際比較をしてみましょう。
日本の財政赤字は他国と比較してどうなのかを見ることによって、財政状況を把握しようということです。

 

 

日本がダントツに財政赤字が多いかといわれるとそうでもなさそうです。


 

次に推移を見ていきますが、日本は2003年から2008年にかけて急激に財政赤字が縮小し、他国とほぼ同じくらいになります
リーマンショック後はほぼ水平に推移しますが、2013年から傾きが急になり、現在に至ります
面白いことに、景気が上向くと財政赤字が縮小しているということです

この話については後程振れます。

 

ここでおさらい。

財政収支は一般会計ベースではなく、一般政府ベースでみること。

日本の財政赤字は世間で誇張されるほど悪くないこと。

 

次回はストックのデータを見ていきます。

 

参考文献

IMF「World Economic Outlook Database」

http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2017/01/weodata/index.aspx

財務省「日本の財政の現状と課題」

http://www.zaisei.mof.go.jp/pdf/%E4%B8%80%E8%88%AC%E4%BC%9A%E8%A8%88%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%AD%B3%E5%87%BA%E3%83%BB%E6%AD%B3%E5%85%A5%E3%81%AE%E7%8A%B6%E6%B3%81.pdf

 

その他あったかもしれませんが、主に参考にさせてただいた以上です。