チャトレ末期の頃、(やる気やモチベーションが回復しなかったり、プライベートが立て込んでいたり、体調不良が重なっていた時)、
常連から私の名前を呼ぶメールが届いたことがあった。
そしてそれは私の本名だった。
ガチ恋になるとは知らず、お客さんとしての信頼関係があるというだけで、下の名前だけ教えてしまっていたことがあったのだ。
もはやどんな会員が来ても対応出来ない状態の時に本名呼びはキツかった。
油断してしまった私がいけないんだけど、メールで名前呼ばれた時に全身全霊が受け付けず、心の一線を越えられた気がした。
私は返信しなかった。
そして初めて本名を教えたことを後悔した。
自分を守るのが下手くそな私は、20代後半に働いていたセクシーキャバクラでも源氏名を本名でやっていた。
正確には呼び名を本名で、漢字だけ変えていた。
夜の仕事が初めてだったためとはいえ、源氏名さえ考えず、情熱と勢いだけで入店した。
なので私はいつも黒服にもキャストにも『音声』としては本名で呼ばれていた。
私は自分の名前が嫌いだ。
モラハラ宇宙人祖父が好きなアナウンサーの名前をつけたらしい。
好きな女の名前を初孫につけるバカいますか?
そんな名前、こうしてやる、って
私は夜職の前勤めていた職場での激務とバーンアウト、うつ状態からの自暴自棄で自分の名前を安売りした。
夜職で本名で働くのは不思議な感覚だった。
みんなが○○(本名)ちゃんと呼ぶ。
源氏名は、本当の自分を守るためにあるのに、私は別にどうってことない、と思っていた。
本来ならたとえ過剰な性サービスを迫られ嫌なことをされても、源氏名が引き受けてくれる。
私だけど私じゃない。
そんな割りきりが出来なかった。
無防備で体当たりの仕事の仕方をしてた。
今でも、「○○ちゃん」と呼ぶ指名客の声を思い出すことがある。私は誰だったのか。
私だったのか、私ではない誰かを演じていたのか。
きっと半々だ。
私の接客の真髄は、半分は嘘だけど半分は本当だということ。
チャットレディの頃も同じだった。
だけど随分長くこの道を歩いてきて、本当の自分がわからなくなった。
でも、もうこれ以上私という人間に、土足で踏み込んでこないで!!と思うようになった。
嫌なことも耐え難いことも引き受けてくれるのが源氏名というものなんだと今さら気付く。
でも、セクシーキャバクラのお客様は私に貢献して頂くことで私の名前に輝きを与えてくれた。
私も私が出来る範囲で恩返しをした。
問題はチャットサイトの会員だ。
本名でキモいこと言われても一線が引けずダイレクトに私が穢される。
ライブチャット客に油断は禁物だ。
私って誰なんだろう?
本当の私はどこ?
と漠然と悲しくなったり虚しくなったりする。
本名聞いてくるチャット客迷惑。
嘘本名考えとくといいらしいですよ
私は今、自分の名前がやはり好きではないけれど、自分を大切にするために、本名も大切にする。
余談だが、セクキャバでは源氏名が本名なはずない!って思うお客が結構いて
本名言っても
「うっそだぁ~」
と信じてもらえないのはウケました。
私は当時色々壊れていて、そして燃えていて、
今考えるとバグったことを色々していました。
今はだいぶ落ち着いた生活をしていますが、精神科の病気が悪化しなければ。
当時とはまた違ったジェットコースターのような数年間をすごしております。
私が誰だか忘れないように、本名を大切に生きていきます。