友人の旦那さんとは、これまで一度も話したことがなかった。ただ、存在だけは知っていた人。
ある日、たまたま行った店でAさんの旦那さんをみかけました。頭の中で点と点がつながった。会社名だけでしか知らなかった“誰か”が、急に輪郭を持った気がした。有名店に勤める方でした。
それからしばらくして――近所で買い物をしていたときのこと。
見覚えのある雰囲気の男性。でも隣には、知らない女性。
カゴの中にはカップラーメンとお酒。女性が会計をして、男性はスマホを見たまま。帽子とマスクで顔はほとんど隠れているのに、髪質やメガネ、白い肌、体格……どうしても引っかかる。
私の職業柄 髪質骨格は記憶にのこりやすいのです。
「まさかね」と思いながらも、視線を外せなかった。
外に出ると、車の乗り方がまた少し不自然で。運転席に男性、後部座席に女性。
車も旦那さんの車ではない。
偶然にしては、出来すぎている気がした。
――そして今日。参観日で、その人とちゃんと顔を合わせた。
「ああ、やっぱりこの人だ」
疑いは確信に変わった。
実は、その旦那がが不倫していることは以前から聞いていた。そして、離婚ももう決まっているらしい。
だからきっと、これはもう“知らなくていいこと”なのかもしれない。誰かに伝えるべきことでもない。まして、奥さんに言うことではない。
でも――ドラマみたいな出来事って、本当にあるんだなと。
ただそれだけが、妙に心に残って話したくてたまらなくて、かきました。