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マラウィ:英国の援助凍結で保健セクターにダメージ

マラウィの最大の支援機関である英国開発庁(DFID)が援助の凍結を決定したことから、マラウィの保健セクターはこれまでにない大きな後退を余儀なくされている。


英国はマラウィに年間1.22億ドルの支援をしており、このうちの4900万ドルは同国の保健分野に支出されてきた。しかし、DFIDは今年6月に終了する6年間の支援スキームを更新しないことを発表した。


これは、4月に英国大使が「マラウィ大統領は独裁的で狭量」と批判していたことが漏洩し、マラウィ政府が同大使を国外追放したことによるものである。


マラウィの保健セクターはほぼ海外からの支援に頼っており、薬のコストの90%は海外からの支援で賄われている。「DFIDの支援凍結で大きな苦難に直面するだろう」と、関係者は話す。実際、マラウィでは自分たちで薬を買う財源がどこにもないのだから。これまでDFIDの支援で改善されてきた保健サービスも後退し始めている。


しかし、この支援凍結以前から、そもそもマラウィでは医薬品不足が起きていた。エイズの治療薬(ARV)は世界エイズ結核マラリア対策基金による全面的な支援を受けて、HIV陽性者に配られるようになっていたはずだが、実際には国内での配布網の悪さから、十分に行き渡らない地域もあった。DFIDによる支援凍結は事態をさらに悪くするだけでなく、医療関係者の士気の低下も招くのではないかと懸念される。


DFIDはIRINの取材に対して、援助を含めてマラウィとの関係の見直しを行っており、それが終わるまでは新たな援助はできないとしている。また、DFIDは他のドナーとともに、保健分野の改革のための新規5年計画の策定を行うようマラウィ政府に求めており、これが出されるまではいかなる援助が可能か検討できないとしている。


政治による駆け引きで被害を受けるのは、政治家ではなく一般の人々であるということを分かってほしいと、援助関係者は話す。


(出典)Malawi: UK Aid Cuts Hit Health Care, IRIN, 3 June 2011

http://allafrica.com/stories/201106031135.html