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エジプト:最低賃金は不十分

カイロ―労働組合と企業連合の間での膠着状態が続いており、エジプト政府による、貧困下に暮らす多くの労働者の生活を改善するための最低賃金の設定が困難となっている。


エジプトの最低賃金は1984年以来、月収で35エジプト・ポンド(6.5米ドル)である。ボーナスやその他手当等を含んだ、公的機関に勤める職員の最低月給は289エジプト・ポンド(53米ドル)であり、民間企業の労働者の中にはもっと賃金が安い労働者も少なくない。


これまでの調査結果は、ボーナスや諸手当を含めても、基本的な生活費を満たすにはエジプトの最低賃金が安すぎることを示している。ある調査では、「最低賃金は国民一人当たりのGNP水準と関連があるが、エジプトの最低賃金の一人当たりGNPに占める割合は、1984年には60%近くだったのが、1991/92年には19.4%に下がり、2007年には13%まで下がった」との結果が提示された。他国と比較すると、エジプトの水準が最低レベルにあることが分かる。この割合はスペインで26%、フランスで51%、トルコでは78%に達する。


2003年にエジプト政府は、生活費に合った賃金水準を設定するための機関を設置したが、政治的意思の欠如から内部分裂状態にあり、機能していない。こうした状態では、安い賃金で労働者を搾取し、労働者の権利行使を弱体化させることができ、雇用者側が有利な状況にあると専門家は見ている。


公正な最低賃金の設定はエジプトの労働者、特に非熟練労働者の生活を改善し、所得分配にも寄与すると見られるが、他方で、最低賃金の引き上げがインフレを招くとの懸念もある。

こうした状況に対し、エジプトの人権団体は昨年発表したレポートの中で、こう述べている。

「単純な賃金の引き上げだけでは不十分である。最低賃金の引き上げはインフレを招く可能性が高いことから、市場調整メカニズムの改革と合わせて行われなければならない。そのためには、物価の監視、輸入の縮小、農業政策の改革、生産性の向上が必要だ。」


【出典】4, Feb, 2010, Cam Mcgrath

 <http://allafrica.com/stories/201002040894.html >