愛知県豊橋市に、「公約に掲げて当選した」を“魔法の杖”として、思うがままに振り回している市長がいます。
とりあえず、こちらのニュースを。
(東愛知新聞12/4-1面)
豊橋市の長坂尚登市長は3日、定例記者会見で新アリーナ計画中止へ向けた契約解除の協議申し入れに対し事業者から返信があったことを明らかにした。内容は「公表できない」とした。経済界など各方面から相次ぐ反対声明に対しても、中止の方針が変わらない点を強調した。
アリーナ計画中止の方針を掲げた長坂市長は当選直後から「速やかに契約解除の手続きに入りたい」とし、登庁初日の11月18日に担当部署へ指示した。特定事業者「豊橋ネクストパーク」には21日付で契約解除へ向けた協議を申し入れた。
市長によると事業者の回答は11月28日までに郵送で届いた。契約解除の申し入れに対する見解で、今後について「内容を踏まえ対応を検討する」にとどめた。
新アリーナ計画の契約解除へ向けて手続きが進む一方、市内外の各方面から反対の声が沸いている。近隣4市長らは、にぎわい喪失や経済的損失などを心配し、計画継続を求めるコメントを発表している。大村知事は県の関連補助や契約解除の根拠など中止方針に対する疑問を投げ掛けた。
豊橋商工会議所の神野吾郎会頭は、中心市街地のにぎわい創出や、地域経済発展に貢献できる施設への期待感から「看過できない」と緊急の声明を発表した。
ほか、市内在住者1万6000人超の労働者が加盟する「連合愛知豊橋地区協議会」も、解約への協議申し入れが報じられると継続を求めるメッセージを発信した。スポーツや文化エンターテインメントの魅力向上のほか、防災拠点の機能への期待を寄せている点から継続を望んでいる。
長坂市長は一連の要望やメッセージに「いずれも要望として直接手元には届いていない。連合地区協議会の声明は間接的に読ませてもらった。各市長からの声はあくまで個人の意見としてとらえている」とし、計画中止の方針に変わりがないことを示した。
計画中止の根拠をただされると「市長選での市民の声を優先した。4年前の選挙でも中止を掲げた候補が当選した。2回の選挙で市民はアリーナを望んでいなかった」との見解を示した。
一言で表せば・・・「いや、まあ、すごい人ですなあ」くらいでしょうか。
「いずれも要望として直接手元には届いていない。連合地区協議会の声明は間接的に読ませてもらった。各市長からの声はあくまで個人の意見としてとらえている」
県知事や豊橋商工会議所会頭の要望は「直接手元には届いていない」から知らん顔?
連合愛知豊橋地区協議会については「間接的に読ませてもらった」、で?
近隣市長らの発言には「あくまで個人の意見としてとらえている」と来ましたよ。
「市長選での市民の声を優先した。4年前の選挙でも中止を掲げた候補が当選した。2回の選挙で市民はアリーナを望んでいなかった」
これに至ってはもう、完全に嘘を含んでますからね。
4年前の市長選挙で当選した候補は「ゼロベースで見直す」と言っただけです。「豊橋公園以外で」という発言もあったようですが、だとしても「中止を掲げた」と言うには当たらないでしょう。
加えて、此度の選挙においても、長坂氏が「アリーナ計画の中止(契約解除等)」をファーストイシューとして広く強く訴えていたという話は聞きません。
選挙ポスターでは継続とも中止とも明記せず、選挙広報でもめっちゃ小さな文字、34ヶ並べた小項目のひとつでしかありません。
そんなんで、「2回の選挙で市民はアリーナを望んでいなかった」と断言されてもね・・・
何しろ、陰に陽にずっと反対派を応援してきたと思しき(朝日より左と噂される)中日新聞でさえ、こんなコラムを載せていたくらいです。
(中日新聞11/21-1面)
「ただ、看板公約の計画中止でなく41歳という若さに期待し投票した人もいよう。前市長ら計画推進を掲げ落選した他の主要2候補の票の合計は長坂氏より多い。公約の即実行は本当に正しいのだろうか」
そんなこんなで、こういうカタチではありますが、長坂氏が受け止めているものとは違う「民意」が示されました。
豊橋市の長坂尚登市長が中止を掲げる豊橋公園東側エリアと新アリーナ整備計画について、市民有志らでつくる「豊橋新アリーナを求める会」は3日、市議会に計画継続を求める請願書を提出した。併せて市民らが寄せた13万4000筆を超える署名簿も添えた。今後は付託先の総務委員会で審議し、20日の本会議で採決する。
求める会によると署名は11月14日から今月3日午前まで募り、20日間で目標の10万筆を大きく超える13万4083筆まで達した。うち、豊橋市内は5万8931筆、市外からは7万5152筆。東三河全体では約7万筆だった。ほか、北海道から沖縄まで全国から5000筆余りを集めた。
この日は会の川西裕康共同代表らが市役所を訪ね、伊藤篤哉議長に請願書を手渡した。併せて継続を望む「民意の証」としてダンボール9箱に入った署名簿も託した。
求める会は2020年にも同様の請願書を署名簿2万8270筆とともに提出した。今回は2週間余りで予想を大幅に上回る賛同を集めた。川西共同代表は「アリーナ問題への関心と計画継続を求める市民の声の高まりが数字に表れた。今回の市長選での結果を踏まえ、自らの思いを託す市民が増えたと思う」との認識を述べた。
計画中止を掲げる長坂市長に対しては「市長選の民意を得た当選は尊重したい」としつつ「アリーナは市民に必要な財産だ。継続を求める多くの声と気持ちを理解してほしい」とした。
伊藤議長は「短期間で13万余の賛同を集めた市民の関心の高さと民意の重さを尊重し、議案として慎重に審議する」と述べた。
長坂市長「コメントは控える」
請願提出に先駆けて開かれた市長定例記者会見で、13万余りの署名が集まったことについて「市議会へ提出して審議されることなので、コメントする立場にはない」と述べた。
参考までに、市長選挙での各候補者の得票数がこちら。
ついでに「豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)建設の賛否を問う住民投票条例の制定請求」に添えられた署名数がこちら。
1回目:17,268人(有効15,991人)
2回目:18,732人(有効17,628人)
ところでこの署名、どういうわけか「反対署名」と(うっかり?)言い間違える人が(殊にアリーナ反対派に)多くて笑ってしまいます。そして、議会が「民意を無視した」と怒っていました。
長坂氏も同じように批判していました。今もしています、何なら、それを計画中止の理由に挙げています。
教科書的には、住民投票というのは、首長と議会との意見が相反している時、議会内の賛成・反対が拮抗している時、首長が賛成派・反対派で度々交代する時、等に行うべきもの。
上の「請求」時には、市長と市議会多数派の目指す方向が同じだったので、議会が否決するのは当然のことです。
むしろ、市長と市議会多数派の考えが割れている今こそ住民投票をする意味があると思うのだけれども、長坂氏は「そのつもりはない」と突っぱねております。どういうことでしょうか?
ということで、豊橋市内外問わず、一人でも多くの方に、長坂氏の不可思議さが伝わればなあと思っております。
※こちらのブログは「仮面の隠者:角燈と砂時計 Ⅱ」から派生したものです。
長坂なおと氏について、自分の精神を安定させるためにも、時々吐き出さずにはいられない、けれど、豊橋、東三河、三遠地域以外の方にとっては、基本、どうでもいい話になりがちですので、別枠を仕立てました。
それでも面白いよ、という方、お付き合いくだされば幸いです。
「角燈と砂時計 Ⅱ」からテーマ「それ行け! ナオトくん。」
市長選挙以降、やたらポストが増えている仮面の隠者の[X]。