人類の歴史は、『感染症との戦いの歴史』と言ってもいい。それだけ古い時代から、人類は細菌、ウイルスと戦い続けてきたことがよく分かる本。


印象に残ったのは『エボラ出血熱、SARS等危険な細菌、ウイルスは元々野性動物を宿主としていた』という記述。それも、中には野性動物と平和的に、何の問題もなく共存していたものもあると言うのが面白かった。

何故、野性動物を宿主としていたものが突然人類を襲うのか。

 新たな細菌、ウイルスによる感染症は、人類による開拓や森林伐採によって『人』と『自然』との距離が近くなることで発生していると、この本を読んでいて感じた。
 また、前述した『野性動物の体内にいたときは何の問題もない』についてだが、面白くも厄介なことに、宿主が変わると突然毒性が強くなるウイルスや細菌がいるそうだ。私が生まれてから希に見る新型のインフルエンザ等の感染症も、この例によるものだろうと思う。

ほとんどのウイルス、細菌の元をたどると『コウモリ』に行きつくという記述も面白かった。そういえば、今話題の『新型コロナウイルス』も、元はコウモリからの感染症なのではないかという意見がテレビで出ていたが、案外間違っていないのかもしれない。

また、『マールブルグ熱』など、猿からの感染症も人類にとって重症化しやすいものらしい。人類にいちばん近いという理由で動物実験の対象になりやすく、マールブルグ熱はそれが元で感染が拡大している。人類のためと実験をされて、それによって人類にとって致命的な感染症を発症。皮肉な話だ

 感染症か騒がれ、人類にとって『悪いもの』という印象が強いウイルスや細菌類だが、人の体内にも沢山の常在菌がおり、そのほとんどが人体に有益であり、なくてはならない存在だ。しかし、一旦外に出て食品内で増殖、毒素を出すことによって食中毒を起こすものもいる。全くもって厄介だ。だけども面白い。
  また、『感染症が退治されるのと反比例するようにアレルギーが急増してきた』という記述も興味深い。

 管理栄養士という職業柄、大学で感染症や細菌、ウイルスについては危険性を含め頭に叩き込まれてきた。微生物は目に見えない。だけれども、確実に目の前に存在しているものだ。それも、全ての生き物にとって最も身近で距離の近い『生物』(ウイルスは生き物ではないが)だと思う。しかし、目に見えないからこそ、これらに対する認識や認知が甘いように思う。身近で最も危険で最も有益な存在である『微生物』のことを、私は隣人としてちゃんと知っておきたい。この本は、タイトルの通り人類と感染症の歴史であり、具体的な対策などは記術されていないので、新型コロナウイルスの対策を求めて読むのなら他を読むべきだと思う。