マンガ以外の本を僕は

大人になるまで

ほとんど読まなかった。

でも大人になると不思議と読み始めた。

 

初めは自分の仕事の出来悪さに

不甲斐無さを感じ

自己啓発本を読み始めた。

でも読んで満足しちゃって

実践しない。

ただのエンターテイメントで終わってしまった。(笑)

 

で、それから小説に手を出し始めた。

最初に手にした本。

それが雷に打たれたようにとても面白かった。

それが「のぼうの城」

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今でもたまに読んでしまう。

もう10回以上読んだ。

 

でくのぼうと小馬鹿にされるが

誰からも愛された成田長親。

通称のぼう様。

圧倒的な戦力を誇る

豊臣軍を前に戦うかそれとも降るかの

選択を前に口にした言葉

 

「武ある者が武なき者を足蹴りにし、

 才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。

 これが人の世か。

 ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ。」

 

強き者が強きを呼んで果てしなく強さを増していく一方で、

弱き者は際限なく虐げられ、踏みつけにされ、

一片の誇りを持つことさえも許されない。

小才のきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、

人がましい顔で幅をきかす。

ならば無能で、人が好く(よく)、愚直なだけが取り柄の者は、

踏み台となったまま死ねというのか。

「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」

 

これを初めて目にしたときは

涙が止まらなかった。

そんな記憶があります。

同時に、今の世もこの小説の世界と

同じではなかろうか?

そんな思いがよぎりました。

 

僕らは知らずのうちに

「強き者」に疑問を抱くことなく従い、

そして今度は自分たちが「強き者」となり、

さらに「弱き者」を従えている。

 

ブルーハーツのtrain trainで同じようなことを

言っています。

「弱い者たちが夕暮れ さらに弱い者を叩く」

そんな現状に嫌気がさし、

本では、のぼう様が僕たちの気持ちを代弁してくれた。

「弱き者」の代表として

「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」

って。

でものぼう様は決して「弱き者」ではなく

誇り高く、決して自分の意思を曲げない

誰よりも「強き者」でした。

 

こんな男になりたい、そう思う今日この頃。

この本、手にとって損はありません。

一度ご覧あれ。