反小沢で「2~5位連合」模索 | 日常的心理風景~ニュースから自分を振り返る~

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反小沢で「2~5位連合」模索
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「そっくり?」-。小沢一郎氏が昨年9月の代表選時に作成した選挙用パンフレット(左)と、今回、海江田万里氏が作ったパンフレット(写真:産経新聞)
 【激突 民主党代表選】■「手を組む話 できている」

 「ちゃぶ台返しという言葉は悪いが、改めるべきは改めてかまわない…」

 民主党代表選候補5人を集めた28日朝のフジテレビ「新報道2001」。海江田万里経済産業相が、復興債の償還財源として臨時増税する政府方針の見直しに言及すると野田佳彦財務相が気色ばんだ。

 「そういう考えなら閣議決定で署名されなければよい。政府として決めたことに責任を持ってほしい!」

 小沢一郎元代表の支援を受けた海江田氏は発言の迷走が続き、ついに自らが推進した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)まで「慎重に検討」と大幅後退させた。かつて国会審議中に大泣きしたことも相まって「この優柔不断さでは政権は任せられない」との認識が広がり、海江田氏への支持は頭打ちとなった。

 逆に一時は「当選圏外」とされた野田氏が「愚直でブレない」と息を吹き返した。

 世間で断トツ人気の前原誠司前外相が外国人による違法献金問題などで失速したことも大きい。「前原氏は追い込まれれば解散しかねない」との不安もある。かといって鹿野道彦農水相は地味すぎるし、馬淵澄夫前国交相は経験不足。こんな議員心理が中間派議員に働いているのだ。

 「野田さんはずっと前から根回ししてきたんだよ。それが今花開いている」

 野田陣営幹部は満足そうにこう打ち明けた。

                 × × ×

 代表選の行方が見えない中、「洞ケ峠」を決め込んできた旧民社党系の「民社協会」(約30人)は28日夕、国会内に集まった。

 当初は一本化した上で勝ち馬に乗り、存在感を見せつける腹づもりだったが、出席者は「俺はもう決めてる」と口々に異を唱え、会長の田中慶秋衆院議員は最終的に自主投票を決めた。

 出席者が「会長はどうするのか」と尋ねると田中氏は「前原だよ」とポツリ。

 「えーっ」。驚きの声が会場に響いた。

 「だから『強いていえば』と言ったろ。言えと言ったから言ったのに…」

 「結束」を誇る民社協会でさえこのありさま。各陣営が票読みに苦しむ理由はこのへんにある。

                 × × ×

 28日午前、前原陣営には焦燥感が広がった。前原氏は26日夜から全議員への電話作戦を決行したが、反応は芳しくなかった。

 すっかり気落ちした前原氏は「あと1年欲しかった」とぼやき、「どっかの大新聞がネガティブキャンペーンを張っているからね」と毒づいた。

 それでも世間の「前原人気」の後押しは大きい。週末に地元選挙区で意見を聞いた議員は前原支持に傾いた。野田氏の増税路線もやはり最終判断を鈍らせているようだ。

 海江田氏が1回目の投票で過半数獲得は難しいことも次第にはっきりし、各陣営は決選投票を見据えた「合従連衡」を模索し始めた。

 注目されるのは2位争いを続ける野田、前原両氏の連携だ。前原陣営の関係者は「決選投票で手を組む話はできている」と明かす。28日午後の党主催討論会での両氏の発言もこの動きを裏付けた。

 野田氏「前原さんと戦うはめになるとは思わなかった。若乃花と貴乃花のような切ない思いがあります」

 前原氏「野田さんが下足番なら私は庭の掃除もします」

 ■小沢色「かいらい万里」 支持頭打ち、過半数は困難

 ≪そっくりパンフ≫

 28日昼のJR有楽町駅前-。海江田万里経済産業相の陣営スタッフは汗ばみながら道行く人に政策パンフレットを配った。

 「私たちには約束がある。国民の生活が第一。海江田万里」

 実は昨年9月の代表選で小沢一郎元代表の陣営が作成した「僕には夢がある。国民の生活が第一。小沢一郎」というパンフレットとそっくり。小沢氏側近が慌てて作成したためだが、海江田氏が小沢氏の「傀儡(かいらい)」だと一層印象付けた。

 演説会も小沢流。小沢氏は街頭演説で「上から目線」にならないように街宣車に乗らず、ビールケースの上で訴えるのが常だが、海江田氏もこれを踏襲した。熱弁を振るう後ろには小沢ガールズがずらりと並び、「生活第一」と書いたパネルを掲げた。

 これを目の当たりにした若手議員はつぶやいた。

 「これでは海江田万里じゃなくて『かいらい万里』だ…」

 ≪「誠実作戦」も踏襲≫

 実際、小沢色が強まるにつれ、海江田陣営は中間派の取り込みが難しくなり、1回目の投票での過半数獲得は困難な情勢となった。やむなく決選投票を前提にした戦術に切り替え、他候補の支持を鮮明にする議員にも「決選投票では海江田をよろしく」と次々に電話をかけ始めた。

 切り崩しの対象は鹿野道彦農水相を支持する議員が中心となった。比較的「小沢アレルギー」が少ないからだ。この攻勢により山田正彦前農水相らは海江田氏支持に転じた。

 ついには投票先を迷っている議員の地元まで赴き議員や関係者に頭を下げる「誠実作戦」も始めた。これも小沢陣営の「十八番(おはこ)」の戦術だ。

 今回敗北すれば小沢氏は代表選3連敗となり求心力低下は避けられないだけに小沢氏も陣頭指揮に乗り出した。28日は都内のホテルに陣取り、各議員の投票先を自らチェック。側近らには各議員の選挙区人脈などの徹底調査を命じ、こうハッパをかけた。

 「一発で決めないといけない。頑張れ! 最後の追い込みだ!」

 ≪消えぬ疑心暗鬼≫

 それでも小沢系議員にいまひとつ熱が入らないのは、海江田氏に対する「日和見主義」との疑念が消えないからだ。

 実際、海江田氏は平成8年に「僕が小沢(政治)を嫌いなほんとの理由」(二期出版)を出版している。28日のテレビ朝日の番組で「もともとは反小沢ではないか」と問われると海江田氏は色をなして反論した。

 「本を書いたのはかれこれ20年前。小沢さんの力があってこそ多くの人が当選して政権与党についた。『親』だの『反』だの『脱』だのではなく民主党は一つにならなければ…」

 だが、そんな海江田氏も小沢氏の「神輿(みこし)」に乗ってしまったことに一抹の不安を感じているに違いない。党主催の公開討論会直前、周囲にポロリと漏らした。

 「大変だよな。先のことを考えるのはやめよう…」(小島優、坂井広志)


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