台風一過。

ひとまず、やれやれだ。

今日はずぶ濡れも覚悟していたのだが、雨がひどかったのは出勤時だけで、思ったほどではなかった。

そして、明日は久々の夜勤。

体内時計を合わせるために、今夜はなるべく遅くまで起きていよう。

最近、部屋のポトスが驚くほど増殖している。

窓際に置いたチェストの上で暮らす彼。

その彼がこの部屋にやってきたのは、もう何年も前のことだ。

どんな経緯でやってきたかは忘れたが、今や私にとっては大切なルームメイト。

何しろ生き物と言えば、私と彼以外には存在しない。

他の住人たちは、もうとっくの昔に出て行ってしまったのだから。

出逢った頃の彼は、今の姿からは全く想像できないほど、ガリガリに痩せていた。

葉っぱの数も、恐らく3~4枚。

きっとすぐに枯れてしまうな・・・。

私は正直、そう思っていた。

水だけは十分に施したつもりだったが、葉が増えるとすぐに枯れ落ちる。

いったい何がいけないのだろう・・・。

成長することを止めてしまったポトスを眺めながら、私はため息をつく毎日だった。

植物など、満足に育てたことのない私。

ホームセンターで液体肥料を買って、彼に与えた。

一瞬だけ緑は蘇ったが、葉の数や大きさはさほど変わらない。

日中はカーテンに覆われた窓。

彼の気持ちを思うと、胸が苦しくなった。

土に固形の肥料を混ぜ、休日はカーテンを開けて、陽の光を存分に浴びせる。

それを繰り返しながら、1年ちょっとの月日が経った。

そこでようやく、茎の長さが50センチを超える。

葉の数も大きさも、以前とは比べ物にならない。

植物が持つ偉大な生命力に私は興奮し、そして感動した。

彼はこの部屋で、見事に生き抜いている。

最初は僅か数センチ。

土から葉が3~4枚程度に顔を覗かせただけの彼が、今や数倍の成長を遂げたのだ。

根から水分を吸い上げ、それが雫となって葉の先端に輝く。

これは彼の勲章。

過酷な条件下でも決して音を上げなかった、誇りを示す彼の証しなのだろう。

私は大切なあの人にも、同様に接したい。

愛情はただ思っているだけでは、伝わらないものだから。

言葉、態度、優しさ、そして信頼。

どれか一つでも欠けていたら、その美しさはやがて色褪せてしまう。

あの人にいつまでも輝いていて欲しいから、私はこれからも努力を惜しまない。

陽の光のようにしっかりと抱きしめ、愛情という名の肥料を注ぎ、何があっても一生守り抜いてみせる。

そしてその生涯を終えるときに、流す涙。

それがお互いの勲章だ。

心から愛し合った誇り・・・その雫が、永遠の絆を物語る証しとなるだろう。