迷惑メールではありません。森絵都 著作です。
「おめでとうございます、抽選にあたりました!」
死んだはずの僕の前に、笑顔の天使が現れ、こう告げた。
前世において罪を犯した僕の魂は、本当なら、二度と生まれ変われないはずなのだが、下界の「ホームステイ」先で修行を積んで輪廻のサイクルに復帰できるよう再挑戦のチャンスが与えられたというのだ。
服毒自殺を図った小林真の身体に入り込み、彼に成り代わって、彼の家で「ステイ」を始めた僕の魂。次第に明らかになる真の環境は「自殺したくなるのもおかしくない」ほどに非常に厳しく、僕もほとほと途方に暮れるのだったが――。
あくまで仮の肉体でしかない一歩引いた立場である主人公は客観的な視点で小林真を見ていく。
真。やっぱりおまえ、早まったよ。
すべてが遅すぎるわけじゃない。
おまえが早まりすぎたんだ…。
自分自身のことを客観的にとらえるのは難しいですよね。
自殺までにいたった真の心情は、とても深刻なものがあったと思うのですが、客観的な視点で見るとことができると、そこまで深刻ではなかったり、
「みんなそうだよ。いろんな絵の具を持っているんだ、きれいな色も、汚い色も」
人は自分でも気付かないところで、だれかを救ったり苦しめたりしている。
この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。
冒頭の迷惑メールのような天使とのやり取りが重いテーマを読みやすくしています。
