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連載「原発労働の闇」:日当の約8割は「ピンハネ」/暴力団の影、末端労働者は泣き寝入り

関西電力大飯原子力発電所(福井県)の改修工事を巡る偽装請負事件で2日、太平電業(本社・東京都千代田区)の福井地区営業所長(58)ら3人と同社など2法人が職業安定法違反の罪で略式起訴された。

 「違法労働を示す資料が捜索で次々と見つかった。長年の深い闇があったことを示す証拠だった」と福岡県警のある幹部は言う。太平電業は全国で原発工事を請け負ってきたが、同社に指定暴力団工藤会関連会社(北九州市)の従業員が派遣された事件は一企業、一原発にとどまらず、原発のあり方自体を問うものだ。

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 北九州市の吉村正樹さん(61)=仮名=は7年前まで14年間、市内の建設関連会社で働き、全国の原発に派遣された。勤務先と原子力メーカーなど元請け企業の間には二重三重に会社が入り込み、時には太平電業が入ることもあった。配管補修が主な仕事だったが、現場ごとに異なる会社から指示を受けた。電力会社から元請けに支払われた日当10万円は、吉村さんに支払われる時には1万8000円になった。8割以上が「ピンハネ」された形だが、吉村さんは「吸い上げの世界。大きい所がもうかる仕組み」と解説する。

 太平電業が主導していた原発労働を巡る偽装請負事件は、原子力発電事業を違法労働が下支えしている実態を明るみに出した。偽装請負や無許可の労働者派遣の裏で横行するピンハネ行為……。いくつもの会社が関与して責任があいまいになる中、労働者は不安定な立場に置かれ、暴力団の介入を許す土壌にもなってきた。

 「線量計がすぐに鳴って長く作業できないから、50人、100人で人海戦術でやるしかない。そこにいるのは末端の人間だ」。吉村さんが振り返る。

 放射線管理区域内は放射線量に応じてA~Dに分かれ、最も高いD区域では防護服を着て手袋を何重にも覆う。「作業効率を上げるため、能力のある人が線量を超えないように他人の線量計を持って入る場合もあった」

 原発1基を1日止めれば1億円の損失と言われる。ある電力会社OBは「定期検査を短くという要望は電力会社から何度も出している。でも検査項目を変えずに短くするには、手抜きか徹夜などの労働強化しかない」と(自嘲、じ、ちょう)気味に語る。

 原子力安全基盤機構によると、09年度の原発で被ばくした労働者約8万3000人のうち電力会社以外の労働者が約9割を占める。平均被ばく線量は3・6倍に達している。

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 日本弁護士連合会貧困問題対策本部は昨年、原発労働者から聞き取り調査をした。同部員の渡辺達生弁護士は「経済的理由からなされている違法な原発労働を倫理的観点からも考えるべきだ」と提起する。

 原発1基の定期検査には1000人以上の作業員が必要とされるにもかかわらず、求人票をハローワークで見かけることはまずない。ほとんどが縁故や紹介で集めている。ある労働局職員は言う。「彼らは電力会社が傷つかないようにとても気を付けている。縁故者なら結束力も強く口も堅い。そこには彼らの世界がある」

2012年2月3日