元外資系証券マンの“奇計”に特捜部は苦虫 | ☆♪EARTH LIGHT♪☆blog2

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「検察なう」取り調べをツイッターで速報…元外資系証券マンの“奇計”に特捜部は苦虫
2011.12.10 12:00

《検察五反田分室前なう》-。東京地検特捜部に7日、所得税法違反罪で在宅起訴されたスイス金融大手の日本法人「クレディ・スイス証券」元部長、八田隆被告(48)は、短文投稿サイト「ツイッター」などで取り調べ内容を発信し続けた。八田被告と特捜部は、ストックオプション(株式購入権、SO)で得た利益の納税をめぐって対立。極秘裏に進む検察捜査の一端が“ネット速報”される異例の経過をたどった。

 ■検察に《メガトンパンチ》

 《BadNewsです。一段落したと思ったのも束の間、取り調べ再開とのことでした》

 《今日の取り調べ終了。大バトルで調書に署名せず》

 八田被告は、主に事情聴取後や聴取の日程が入った場合に情報発信。「経過報告」と題したブログの書き込みは70回を超え、ツイッターへの投稿も相当数に及んだ。

 意見を盛り込んだ陳述書を提出した際にはこう書き込み、自らの“攻撃”に自信をのぞかせた。

 《相手のあごにメガトンパンチがクリーン・ヒットし、脳みそがぶよんぶよんしているものと思います》

 書き込みには検察官の発言とされる内容も含まれた。「起訴不起訴の決定はできていない」という捜査上の秘密や、「(東京国税局の)告発から既に相当時間が経過しており、それに関しては個人的に謝りたい」という取調官の“本音”も記載したのだ。


12月6日朝も、ツイッターで予告した通り、東京都品川区の東京地検五反田分室前に現れた。手に持った紙袋には母親が編んだ座布団。取材に「拘置所はせんべい座布団のようなので。逮捕は常に覚悟している」と話し、情報公開の狙いについては「何が起きているのかを知ってもらいたい」と説明した。

 ■「源泉徴収」めぐって対立

 起訴状などによると、八田被告は平成19年までの2年間、スイスにある親会社から付与されたSOなどを行使して株を取得した際の所得約3億4800万円を申告せず、所得税約1億3200万円を脱税したとされる。

 取り調べで八田被告と検察が対立したのは、SOで発生した利益が源泉徴収されていないことを知っていたかどうかだ。

 SOは企業の社員らが自社株を購入できる権利で、平成9年の商法改正で導入された。SOでの利得について最高裁は17年1月に「給与所得に当たる」との判断を示しており、権利を行使して株を得た際には給与として課税対象になる。

 八田被告は海外の口座で株を取引していたが、株取得が海外だった場合、源泉徴収するかどうかの対応は企業によって分かれるという。クレディ・スイス証券の場合、源泉徴収はされていなかった。

 八田被告は「過少申告となったことは私の責任だが、源泉徴収されていると考えていた。『犯罪だ』といわれるいわれはない。それが私のサラリーマンとしての常識だった」などと話し、故意の所得隠しを否定していた。


■「これが起訴状です」…画像も公開

 ただ、外資系企業を中心にSOをめぐる脱税事件は絶えない。

 20年2月には、米医療用品大手「ジョンソン・エンド・ジョンソン」日本法人の元代表が所得税約5800万円を脱税したとして立件。今年9月には米金融大手「JPモルガン証券」日本法人の元部長が、所得税約5400万円を脱税したとして在宅起訴されている。検察関係者は「源泉徴収されたかどうかは本人が確認することが必要だ。知らなかったではすまされない」と指摘する。

 「司法の誤りを正すチャンスがまだあると思っている。法廷で争うのは望むところ」。一方の八田被告は、12月9日に起訴状を受け取るために東京地裁を訪れた際、自信に満ちた顔でそう語った。

 庁舎を出た直後、ツイッターに《これが起訴状です》と画像をアップするなど、今後も情報発信を続ける姿勢を示している。

 検察関係者は「ここまで取り調べ内容が逐一ネット公開された例はないだろう。調べに支障が出たとは聞いていないが、今後こうしたケースがたびたび出てくるかもしれない」と困惑の様子。取り調べの録音・録画(可視化)制度の本格導入をめぐる議論が進む中、捜査当局にとってITによる「疑似可視化」は想定外であり、八田被告が投じた一石は余波を広げそうだ。