最後の実験はある年の暮れに行われた。
エアロゲルという物質は、ゾルゲル法を用いて作るので時間がかかる。
そのため実験結果は年を越えてからとなった。
最終工程に取り掛かるときは、期待と不安が入り混じった複雑な気分だった。
いざ最終工程を終えた試験体をみると、やはりといったところか。
失敗だった。また後一歩だった。深くため息をついて試験体をゴミ箱に捨てた。
それから、自宅にあった研究室の片付けを始めた。
約4年以上の研究も終わるのかと思い、感慨深くなる。100円均一で買ってきた試験用具の数々は、へんな愛着すらあった。
そうして最後にゴミ箱を整理していると、さっき捨てた試験体が目に入ってきた。
なんと出来ていたのだった。びっくりして何度も確認したが、やっぱり出来ている。
乾燥が足りずに、そのまま捨てた試験体は、常温で自然乾燥し、完成していたのだ。
その出来事からこの事業は一気に加速した。
まず製品化に向けての本格的な取り組みが始まった。
企業する方向で話が進んでいく。同時に低価格大量生産のためのプラント設計などエアロゲル断熱材の普及が現実性を帯びてきた。
しかしそうなってくると、またしても問題点が浮き彫りになる。
実験の段階では、可能だった方法が製品のサイズにするとまったく違う現象、新たな問題が出てくる。
たとえば、物自体が大きくなるためその容器も必然的に大きくなる。それに均等に圧力や熱を与えるのは、結構難しい。それはすべての工程でいえることであった。
すべてに均等に、力、熱量等を与えることができなければ、大量生産は無理なのだ。当然実験にも資金はいるのだが、製品の試作はそれと比べ物にならないほどの資金が要る。
そうそう何回もできるものではない。だからこそ知恵を絞り、いろんな可能性を考えて、解決策が出たと思ったら、製品を試作する。
それをくりかえし、やっとのこと製品化に成功したのである。
そうやってできたコア材を真空引きしてできた製品がこのエアロゲルクなのだ。
エアロゲルクの説明に関しては、HPのほうで詳細が書いてあるので確認してほしい。
ここに書ききれなかった開発秘話はまだまだあるが、ここで一旦区切りです。
これからは現在も実験は続行しているのでそれの進行状況などや、折をみてまた開発当時のことなどを報告できていければいいなと思っています。