" 誓うよ、僕は最初から分かっていた
僕は出来損ないだ
でも頑張って綺麗にしてきたんだ "
Dashboard Confessional はアメリカのエモ系ロックバンド。バンド名の由来は、車のダッシュボードが僕の懺悔を聞いてくれる、とかいうちょっと意味不明なもの。先日Sum41とのコラボを紹介したnothing,nowhere.ともHopes Upでコラボしています。
Vindicatedはサム・ライミ監督の映画『スパイダーマン2』のサウンドトラックでリリースされました。バンドのソングライター、ボーカルであるクリス・キャラバが映画に触発され、ほんの数分で書きあげたというこの曲は、バンドを代表する曲のひとつになりました。
[Verse 1]
Hope dangles on a string
Like slow-spinning redemption
Winding in, and winding out
The shine of it has caught my eye
まるで赦されるかのように、ゆっくりと回る
巻き取って、またほどいて
その光は僕の目に焼き付いた
And roped me in so mesmerizing
So hypnotizing
I am captivated
I am
それは惑わすように僕に巻き付いた
だから恋焦がれた
僕は心を奪われたんだ
僕は
[Chorus]
Vindicated, I am selfish, I am wrong
I am right, I swear I'm right
Swear I knew it all along
And I am flawed
But I am cleaning up so well
I am seeing in me now
The things you swore you saw yourself
僕は身勝手で、間違っていて
でも正しい、誓って正しいんだ
誓うよ、僕は最初から分かっていた
僕は出来損ないだ
でも頑張って綺麗にしてきたんだ
いま僕は自分の中にも見ている
君が自分を見つめなおして誓ったものを
[Verse 2]
So clear, like the diamond in your ring
Cut to mirror your intention
Oversized, and overwhelmed
The shine of which has caught my eye
澄み渡っているんだ
君の指輪に光るダイヤのように
君の思いを映すかのようにはっきりと
大きすぎて、打ちのめされた
その光は僕の目に焼き付いた
And rendered me so isolated※
So motivated
I am certain now that
I am
そして僕を置き去りにした
それが追いかける力になった
いま僕は疑わない
僕は
[Chorus]
Vindicated, I am selfish, I am wrong
I am right, I swear I'm right
Swear I knew it all along
And I am flawed
But I am cleaning up so well
I am seeing in me now
The things you swore you saw yourself
報われたんだ
僕は身勝手で、間違っていて
でも正しい、誓って正しいんだ
誓うよ、僕は最初から分かっていた
僕は出来損ないだ
でも頑張って綺麗にしてきたんだ
いま僕は自分の中にも見ている
君が自分を見つめなおして誓ったものを
[Bridge]※
So turn up the corners of your lips
Part them and feel my fingertips
Trace the moment, fall forever
Defense is paper-thin
Just one touch, and I'd been in
Too deep now to ever swim against the current
だから君を笑わせるんだ
僅かに唇がひらいて、僕の指先を感じる
その瞬間を辿って、どこまでも落ちていく
薄紙一枚ほどの隔たり
一度でも触れられたら、
そしてずっとそこにいられたら
ここは深すぎるんだ
流れに逆らって泳ぎ続けるには
So let me slip away
So let me slip away
So let me slip away
So let me slip against the current
だから諦めさせて
だから諦めさせて
だから間違っていても逆らいたい
So let me slip away
So let me slip away
So let me slip away
So let me slip away
だから諦めさせて
だから諦めさせて
だから諦めさせて
だから諦めさせて
[Chorus]
Vindicated, I am selfish, I am wrong
I am right, I swear I'm right
Swear I knew it all along
And I am flawed
But I am cleaning up so well
I am seeing in me now
The things you swore you saw yourself
報われたんだ
僕は身勝手で、間違っていて
でも正しい、誓って正しいんだ
誓うよ、僕は最初から分かっていた
僕は出来損ないだ
でも頑張って綺麗にしてきたんだ
いま僕は自分の中にも見ている
君が自分を見つめなおして誓ったものを
[Outro]
Like hope dangles on a string
Like slow-spinning redemption
細い糸で揺れる願いのよう
まるで赦されるかのように、ゆっくりと回る
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クリス・キャラバは触発こそされたものの、この曲はスパイダーマンの主人公であるピーターについてではなく、「ヤングアダルトであることの感情」についてであると述べています。ヤングアダルトについての解釈は後述しますが、私はこの曲で歌われる感情について、憧憬のまじった恋心である気がします。かっこいい先輩に恋する、みたいなやつですかね。
私自身、好きになる相手には恋愛感情より先に尊敬の念がわいてしまうタイプなので、この曲のやるせなさみたいなのに共感してしまいます。憧れに手を延ばすけれど、自分がその人ほど立派じゃないことも分かっていて、でも届きたくて…みたいな。
さて、冒頭で述べたヤングアダルトが単に子供と大人の過渡期を指すのか、心理学的意味なのかは定かでありませんが、私はスパイダーマンを見たことがないため、訳としてもスパイダーマン要素は入れていません。
ともあれ、ハヴィガーストやエリクソンは思春期後期や青年期の発達課題において、職業選択や価値観の形成、自己の独立などをあげています。有名なのは、アイデンティティの達成か拡散か、というものでしょう。我々はこの時期において夢を追いかけるか、諦めるか。諦めた後、堅実な職につくか、あるいは社会に希望を持てず無気力な生活を送るか。などといった選択を迫られます。
エリクソン的には夢を追いかけたが結果的に現実的な路線を選択することがアイデンティティ達成になります。解釈は多々ありますが、たとえば親や同級生に倣ってとりあえず就活して働きました、みたいなのは彼の意図する達成とは少し異なるようです。
最後のSo let me slip away So let me slip against the current の部分ですが、これはどう考えたものか悩みました。slip away という表現は洋楽では頻出のfade awayやらslide awayやらと同じaway系で、意味自体はどれも「立ち去る」といったものです。
一方で今回の場合、前の文脈にdeepやswimが登場することから考えると、このslip awayは流れに身を任せる=諦める、ということなのですが、against the currentは真逆の、流れに逆らうになります。ということでここだけはslipを間違うという意で捉えて訳しました。まあこの辺は雰囲気でお願いします。
(私はOasisのSlide awayが大好きなのですが、日本人的感覚からすると、Slide awayって何ぞやって感じですよね)
memo
And rendered me so isolated So motivated
Isolatedは孤立させる、motivatedはやる気にさせる、みたいな意味です。文脈をとって意訳しました。
So turn up the corners of your lips
直訳すると、君の唇の端を上向かせる、みたいな感じだと思います。要は笑顔にさせるってことだろうって感じで意訳しました。