理恵子は、クリスマスの直前、彼氏に振られた。
一年間付き合って、もし再就職が決まったら結婚したいとまで思った彼氏だった。
別れの理由は、「さみしいから。」
彼女はフリーランスでモデルの仕事をしていたが、
年も27を目前にして
身長も高くないので、雑誌の依頼などはほとんど来なくなり、
来るのはチラシモデルでもあればいいほうで
一日の時間のほとんどを新人と一緒に街頭でティッシュ配りをしたり
夜間に居酒屋を回ってタバコの新商品サンプル配りをしたりしていた。
プライドだけは一人前で、学力もそこそこ器用に合った理恵子は
さっさと見切りをつけて次の仕事を探せばいくらでも今より楽に高収入を見込めたのに
そのプライドの高さが災いして、
感じなくてもいいストレスに敏感になり
仕事を変えるタイミングを見失ったまま、
大好きなお酒を浴びるように飲み続けた結果
見る見るうちに全盛期の見る影もないくらい
太っていった。
もちろん、理恵子に来る仕事の量も質も、どんどん下がって行ったのは言うまでもない。
彼氏は、そんな理恵子の姿を見て
「ちゃんと、まともに働け!」と説教をし始めた。
彼氏は理恵子の二つ年下であったが、一生懸命にモデルの仕事をこなそうとする
その姿にほれ込んだ広告代理店の社員で、理恵子と仕事をしているうちに
理恵子のことが好きで仕方なくなって、理恵子を自分の家に迎え入れて
寂しがり屋の理恵子はそれに甘えて行くうちに
目標が判らなくなってきたのである。
でも、彼氏の事は好きだった。
ティッシュやタバコ配りの仕事や、
チラシの仕事はそれほど請けなくなったが夜間帯にほそぼそと続ける事にして
中途入社にしてはそこそこの会社の事務員として
生活の基盤を固める事にした。
理恵子は、彼氏といつか結婚したいと思っていた。
彼氏もそれを暗黙の了解として受け入れていた。
だから、彼氏の一言がきっかけで
理恵子は自分の結婚資金くらいはためたい、彼氏と結婚するために
より幸せな生活を送るために。
その一心で昼夜働きまくった。
彼女は一日のほとんどを自分のために充てるようになり、
職場の近くへ引っ越したため、週に一度のデートしかできなくなったが、
しっかり働いたら、彼と一緒に毎日住めるんだから
いまちょっと寂しいくらい、どうってことない。と思っていた。
そして、約半年ほど働きまくった クリスマス直前。
彼女は「会えなくなって、さみしいから」
そんな理由で振られてしまった。
途方にくれて、泣きじゃくって、
すがったりもした。
買っておいたプレゼントを早めに渡して、
「こんだけ思ってたのに」と同情をひいてみようともした。
だが、この男にすがってもだめだ。
とある瞬間気づき、
これからは、出会いしかない!と、携帯に入っている友人に片っ端から連絡を取り
彼女は合コンをセッテイングする事にした。
のちに、合コン女王と友人一同に呼ばれる
理恵子の合コン人生のきっかけは、ここだった。