59 アシュラリスト 虹の橋(Rainbow Bridge)
『虹の橋』(Rainbow Bridge)
天国の、ほんの少し手前に「虹の橋」と呼ばれるところがあります。

この地上にいる誰かと愛しあっていた動物たちは、死ぬと『虹の橋』へ行くのです。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
たっぷりの食べ物と水、そして日の光に恵まれ、彼らは暖かく快適に過ごしているのです。
病気だった子も年老いていた子も、みんな元気を取り戻し、傷ついていたり不自由なからだになっていた子も、元のからだを取り戻すのです。まるで過ぎた日の夢のように。

みんな幸せで満ち足りているけれど、ひとつだけ不満があるのです。
それは自分にとっての特別な誰かさん、残してきてしまった誰かさんがここにいない寂しさを感じているのです。

動物たちは、みんな一緒に走り回って遊んでいます。
でも、ある日その中の1匹が突然立ち止まり、遠くを見つめます。
その瞳はきらきら輝き、からだは喜びに小刻みに震えはじめます。

突然その子はみんなから離れ、緑の草の上を走りはじめます。
速く、それは速く、飛ぶように。あなたを見つけたのです。
あなたとあなたの友は、再会の喜びに固く抱きあいます。
そしてもう二度と離れたりはしないのです。
幸福のキスがあなたの顔に降りそそぎ、あなたの両手は愛する動物を優しく愛撫します。

そしてあなたは、信頼にあふれる友の瞳をもう一度のぞき込むのです。
あなたの人生から長い間失われていたけれど、その心からは一日たりとも消えたことのなかったその瞳を。

それからあなたたちは、一緒に「虹の橋」を渡っていくのです。
/end

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『虹の橋のたもと』(AT THE RAINBOW BRIDGE)
天国とこの世を結ぶ橋がある。

その橋は、様々な色合いから『虹の橋』と呼ばれている。
『虹の橋』の一歩手前には草地や丘、青々とした緑あふれる谷がある。
大切な動物達は、死ぬとその場所へ行くのです。
そこにはいつも食べ物と水があり、気候はいつも暖かいまるで春のようです。

歳をとって、からだが弱っていた者でも、ここへ来て若さを取り戻し、からだが不自由になっていた者は、元どおりの健康な姿になる。
そして一日中いっしょになって遊んだりしている。
だが、橋のそばにはみんなと様子が異なるものもいるのです。

疲れ果て、飢え、苦しみ、誰にも愛されなかった動物たちです。
他の動物たちが一匹また一匹と、それぞれの特別なだれかといっしょに橋を渡っていくのをとても悲しげに眺めているのです。

彼らには特別なだれかなどいない。
生きている間、そんな人間は誰一人現れなかった。
しかし、ある日、動物たちが走ったり遊んだりしていると、橋への道のかたわらに誰かが立っているのに気づくのです。
彼はそこに繰り広げられている友の再会をものほしそうに眺めている。

生きている間、彼は動物と暮らしたことがなかった。
彼は疲れ果て、飢え、苦しみ、だれにも愛されなかったのです。
そんな彼がポツンと立っていると 、愛されたことがない動物がどうして一人ぼっちなのだろうとそっと近づいてくのです。

すると、なんと不思議な事が…。
愛されたことがない動物と愛されたことがない人間が互いに近づくにつれ、奇跡が起こるのです。
なぜなら、彼らは一緒になるべくして生まれたからだ。
この世では決してめぐりあえなかった特別なだれかと大切な動物として。
今、やっと『虹の橋』のたもとで彼らの魂は出会い、痛みや悲しみは消え、友はいっしょになるのです。

そして、いっしょに『虹の橋』をわたり、もう二度と別れる事は無いのです。
/end

ゼーレの眼目
この「虹の橋」は、原作者不詳のまま、世界中の動物サイトに伝わっている詩である。原文は英語だが、アメリカでも誰も作者を知らず、欧米のサイトを通じて広まっていったとされる(古いインディアンの伝承にもとづいているものらしい)。
 詩の内容は、愛する動物達と別れても天国の手前に有ると言う「虹の橋」でまた再会して、一緒に虹の橋を渡り共に天国に行く…。そして、「虹の橋のたもと」では、愛された事無い動物達がやはり愛を知らなかった人と共に「虹の橋」を一緒に渡るという詩である。
 この「虹の橋」の詩に共感を持った世界中の動物を愛する多くの人達によって、複数の国々の言語に翻訳されインターネットを通じて世界に伝えられた。
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トリス ウイスキー:「雨と子犬」篇


彼女とハムスター
 学生時代に交際していた彼女は医療系の大学に通っていた。教授から、実験を免れたハムスターの1匹をもらった。彼女はペットとして、たいそう可愛がっていた。しかし、数ヵ月後衰弱し、死んでしまった。後で聞いた話だが、私の名前を付けていたという。ハムスターが死に、彼女はそのペットロス(pet loss)とともに、私の恋愛も終わった。一緒になりたかったが、たとえ別れることが運命であっても、もう少し早くこの詩「虹の橋」に出合っていたなら、彼女の悲しみをもう少し理解できたのかもしれない…。「生者必滅会者定離は浮世のならひにて候」。哀しい言葉の響きだ、しかし真実である。真実はいつも重く、そして冷たい。
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 テーマにシンクロする曲:「遅すぎた季節」ビリーバンバン

ペットロス:
ペットである犬や猫などを喪失(ロス)することであり、死別などによる別離にともなう心理的な体験過程を意味する。飼い主は深い悲しみのため抑うつ状態に陥ることもある。子育ての終わった若い主婦を中心に、こうした現象が多発する傾向がある。
1980年代から欧米では問題化しているが、わが国でも多発するようになり、体験者の94%は女性、その4分の3は既婚者で、もっとも多いのは50歳前後の女性だ。すでに子育ての終わった主婦で、とくに夫婦や親子・友人との関係がやや希薄な人ほど、重いペットロス症状に陥ることが多いという。溺愛するあまりペットに自分の願望投影をしたり、極端に人間化して扱ったり、ペットと自分を同一化する傾向が大きい。
また、97(平成9)年、東京都内の獣医グループが行ったアンケート調査によると、「親が死んだときより悲しい」とまでいうものが31%にも達したという。
もはや、ペットロスを経験した人間にとって、『虹の橋』は魂の癒しのかけはしなのであろう。

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