告知32 「ネイタスアルゴ」NATUS-ALGO(Newborn Hearing Screener)について

はじめに

ほぼ10年前のレポートをリマインドします。団体名等は、旧表現、当時の表記を使用しています。あらかじめ、ご了承願います。

また、「ネイタスアルゴ」ABR聴力検査についての「外来」は、各婦人科病院により異なるので、個別に対応して頂くとありがたいと思います。

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新生児用ABR聴力検査装置「ネイタスアルゴ」について、報道内容の補足とともに、私の電話取材したものを配信いたします。
Swan Safeguard Contents
ネイタスアルゴ

聴力検査定期検診などで担当医より、右から音が聞こえますかという案配でする検査。しかし、言葉で意志疎通ができない生まれたばかりの乳幼児の検査は今までできなかった若しくはなされてこなかったのが実態に近いという。聴覚機能障害の発生率は国内では1000人に12人の割合であるが、その早期発見がその分水嶺となる。早期発見ができれば補聴器を早く装着させて訓練すれば言語能力に劣りが出ないで健常者に近づけるという。今までの乳幼児の難聴の発見は、偶然が多く。例えば掃除機が近くに来ているのにもかかわらず反応しないとかの偶然に気付いて、医者に診てもらったら難聴であったというケースがある。
しかし、検査機の進歩で乳幼児でも難聴の検査ができるようになった。

現実例
東京都立川市・井上レディスクリニックの事例(以下、栗城聞取り取材参照)

人間は5004000ヘルツの間の音の中で生活をしている。人間は生活の中の音感で生きて行く。言語能力は生後3カ月又は6カ月に聴覚機能の最初のきっかけ的な兆候が始まるという。この時期に難聴(聴覚機能障害)が発見できれば治療がすこぶる有利になるという。補聴器使用と読唇術で日常生活には困らないほど上達するという。

ABR→
聴性脳幹反応のこと。
最新自動ABR読取装置「ネイタスアルゴ」により、乳幼児でも難聴の検査ができるようになったという。小形で場所も取らず設置費用は約400万円。
http://www.asahi-kasei.co.jp/iyaku/algo/

また、難聴早期発見後の訓練も課題となっている。国内には26カ所の聴読訓練施設しかない。さらに言語聴覚士の絶対数不足である。
厚生省はその「ネイタスアルゴ」の情報を受け、それを使用しての、早期乳児難聴診断を試験的に各自治体で行いたいと広報したが、いまだに名乗りを上げた自治体はないという。一人当たりの診療単価はパッドなど消耗品を含め約3000円~4000円。そのうち厚生省は3分の1を負担するという。財政困難で腰の重い自治体に対して国民が後押しし診断を受入れを促す働きかけが必要だと思う。
社会貢献の類型として、先ずは企業が連携して東京都に働きかけるというのはいかがだろうか?
皆さんはいかがか?
特に妊娠していて将来お母さんになる方には重要な関心事であろう。

資料:
言語聴覚士(speach therapist)について

音声機能、言語機能、聴覚に障害のある人の訓練、検査、助言、指導をする専門家。一九九七(平成九)年に言語聴覚士法が成立、年一回の国家試験が行われる。これまでは言語療法士、聴能言語士とよばれてきたものである。今回の法律によって、医師の指示によらない教育
や福祉の現場での活動実績をもつスピーチセラピストの立場が認められた。まだスピーチセラピストの人数が少なく、十分な訓練を受けられない患者が多く、今後の高齢化の進展においてはなおのこと、国家資格制度の発足を契機に、各病院、福祉施設、教育分野での充実が望まれる。

以下、旭化成HPのコピー
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厚生省「新生児聴覚障害検査について」発表厚生省「新生児聴覚障害検査の実施」を発表
 厚生省ホームページに「新生児聴覚障害検査について」先天性代謝異常等検査費補助金の中の一事業として、平成1210月より実施することを明らかにしました。
厚生省 全国厚生関係部局長会議(児童家庭局)
http://www.asahi-kasei.co.jp/iyaku/algo/

新生児のための新しい聴力検査
誕生したその日から、検査ができます。ネイタスアルゴR2eは、新生児および乳児の言語能力の発達に必要な聴力を、高精度でありながら簡単な操作で短時間にスクリーニングができる装置です。
※ネイタスアルゴR2eR表記は、ブラウザによって(R)と表示されますが、これは商標登録表示です。
 新生児誕生の日から検査が出来ます。在胎週34週~生後6ヶ月の赤ちゃんに検査が行えます 。安全性の高い検査装置です
  非侵襲な検査で、眠剤服用の必要がありません。簡単な操作で短時間(3分~8)に検査が行えます 。左右の耳を同時に測定するため短時間で検査が終了します。結果は、正常児のABRとのパターンマッチング法により自動的に判定し、合格/要精査と表示します

結果の保存
検査結果は、自動保存され、検査後いつでも検索ができます。ネイタスアルゴR2eのカラー写真と仕様(検査方法と概念図以下WEBサイト参照)
http://www.asahi-kasei.co.jp/iyaku/algo/
 両耳にイヤーカプラRを装着し、音圧35dB、周波数帯域700-5000Hz のクリック音を、右耳37/秒、左耳34/秒で同時に刺激し、赤ちゃんの前額部、頚部、肩の3カ所に貼ったジェリーボタンセンサよりABRの第V波を検出します。得られた反応波を正常聴力児のABR波とパターンマッチング法により統計検定を行い判定します。
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旭化成HP /end


栗城:聞取り取材

井上レディスクリニック(院長:井尾裕子さん)
立川市富士見町
1-26-9
電話
042-529-0111

 上記、産婦人科病院は2000/12/6付テレビ朝日「ニューステーション」で取材報道された病院である。以下、私が同院検査担当者より電話で聞取り取材の上、回答を得たものである。もし、問合せをしたい場合は上記まで連絡されたし。


 当産婦人科病院は当院で出産された妊婦の出生児全員に「ネイタスアルゴ」ABR聴力検査を実施しております。また、当院での出生児に関わらず、外来での検査も実施しております。検査方法は新生児が寝ている静寂な状態で行います。1歳以上になると小児科の管轄になりますので、こちらでは取扱致しません(新生児用ベットなので大きい子は入れない)
 また、1歳以上の子供の場合、動き回るため、微量の睡眠薬を服用させて検査するようです。そういう意味ではお母さんに母乳を与えてもらってすやすや寝ている赤ちゃん(出生直前)の方が薬物(睡眠薬)服用せずにできますので副作用もなく医療行為としては有利です。
 もし、新生児に異状を発見した場合は関係小児科医師と今後の対策を取る準備を調えております。
 費用は当院で出産して頂ければ、その費用は出産費用に組み込まれます(出産費用は個室・相部屋などのグレードの差はあるが30万円ぐらいからとのこと)
 また、外来の場合(各産婦人科により対応が異なるため、あらかじめ確認が必要)は4000円から5000円程度という(栗城:私はこの検査の存在を知らなかったが、普通の妊婦の意識としてこの検査を知らないか分からないという印象がある。この外来が問題なのであるが一般的に出産したらこのような施設を整えていない場合、敢えて外来で医者に見せる母親がいるのだろうか。表面上異常がなければそのままになってしまうのが現状ではなかろうか。早期発見が鍵になるだけに、今後産婦人科病院を選択する場合、ネイタスアルゴ検査があるかどうかも必要な選択肢になるではなかろうか)
 尚、診察は月曜から土曜日までで、火木土は午前中のみだという。こちらの産婦人科で使用している検査機器は旭化成の新生児用ABR聴力検査装置「ネイタスアルゴ」NATUS-ALGO(Newborn Hearing Screener)です。

井上レディスクリニックの検査課の職員は丁寧に感じよく対応してくれた。

以上、編集・文 栗城利光。

ゼーレの眼目

報道によると、日本人の先天性聴覚障害の約2割が、胎児期のサイトメガロウイルス感染によるものであることが、厚生労働省研究班の調査で初めて分かった。

先天性聴覚障害は新生児1000人に1人程度で多くは遺伝性だが、このウイルスの感染による発症の割合は不明だった。出生直後に感染の有無を調べておけば、補聴器や人工内耳など対策を早期に講じることができ、障害の軽減が期待できるという。

 サイトメガロウイルスは、多くの人が母乳やつばなどで乳幼児期に感染する。病気で免疫力が低下すると増殖し、致命的な肺炎などを起こすが、健康な状態では悪さをしない。

 しかし、妊娠中の女性が初めて感染すると、胎児にウイルスが移り、免疫が未発達のため、聴覚神経の発達を阻害することがある。近年衛生環境の向上で、日本の感染者の割合は1973年の96%から、99年には78%に低下し、感染歴のない人が増えており、先天性聴覚障害児の増加が心配されている。

 研究班は2歳以下で発症した聴覚障害児47人のへその緒を提供してもらい、胎児期に母親から感染していなかったか調べた。その結果、21%に相当する10人の感染が判明した。

 研究班主任研究者(耳鼻いんこう科)の一人は「従来の聴覚検査だけでは、発見が遅れやすい。出生直後に新生児の尿中のウイルスを調べて、聴覚障害が発症するリスクが分かれば、早期対応につなげることができる」という((2007426日報道)

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国内にはおよそ30万人にのぼる聴覚障害者がいるという。

肉体は精密な蛋白質でできている。さまざま人間の機能のそれぞれが独立して且つ関係しあって、その調和を保つ。今まで分らなかったこと知らなかったことなどが科学の力で明るみになる場合もある。ただ、そういう情報を知らなければ、利用しなければ何の価値も恩恵もない。日常生活で今回取り上げた記事を話題の一部にしてもらえることを願う。自分では意識しなくても何気ない会話が誰かへの大きな力へと変身する時もある。私はそれを信じて、リマインドしてみた。

AEGIS シリーズ全編及び「ゼーレの眼」と画像
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