29 アシュラリスト 石文(いしぶみ)

好きだった、今は愛している。

心の凝りをほぐす優しい眼差しと仕草。

拈華微笑(以心伝心)。

生活習慣も違うのだから、すれ違いも当たり前、でも空回りするほどに、彼女が愛おしい。

難しい理屈はない、基準は恋愛にふさわしいか、向いているか。

条件闘争は恋愛にはなじまない。

「互いに共振する魂の共鳴板は充分に備わったか?」

石文は意志文になる。

ゼーレの眼目

映画「おくりびと」の中に、いしぶみ(石文)という言葉が出てくる。ひとが言葉を持たなかった大昔、自分の想いを相手に伝えるために、石を渡したという。
もらったひとは、その石の大小、重い軽い、つるつるざらざらの感触を総合して相手の感情を読み取るという。

意志の深さ、恋愛の深さは自分しか知り得ぬ領域である。


AEGIS シリーズ全編及び「ゼーレの眼」
転載、コピー等はご遠慮ください。
Copyright(c)2007-2010 Toshimitsu Kuriki. All Rights Reserved.