告知19 国民生活センター 「足場を貸して」を口実に、屋根工事を勧誘
・平成21年7月
・中部地方
「隣の家の工事をするので足場を借りたい」と業者が来た。うちの屋根に上がり、「古い」「雨漏りがする」と屋根工事を勧誘された。初めは断ったが、「瓦を留めている土が流れて家が壊れる」などと1時間近くしつこく言われ、病院に行く予定で時間も気になったので、工事合計23万円の書類に署名した。後で、隣は工事の勧誘を断っており、「足場を借りたい」はウソであることが判明した。(70歳代 女性)
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<ひとこと助言>
☆「隣の屋根工事のために足場を借りたい」と、相手の善意を利用して勧誘のきっかけをつくり、「屋根が傷んでいる」「雨漏りがする」などと不安にさせ、契約をさせる手口です。
☆本当に必要な工事かをよく考え、業者に言われるままその場で契約しないようにしましょう。
☆トラブルにあったら、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください。
独立行政法人国民生活センター 見守り新鮮情報 第82号 平成22年4月28日より
ゼーレの眼
恣意的な「きっかけ」を創出し、利用した犯罪があった。大阪で「間取りを見せて」といい老人宅へ上がり、すきを見て財布盗むという事件であった。
報道によると、一人暮らしの老人宅を狙って「間取りを見せて」などと上がり込み、すきを見て財布を盗んだとして、大阪府警堺南署は2002年12月17日までに、堺市深井東町、主婦(54)を窃盗の疑いで逮捕した。容疑者は「8月からの3か月間で同じ手口で約50件の犯行を重ねた。金は借金返済に充てた」と供述、同署で追及している。
調べによると、容疑者は11月21日、同市内の無職女性(68)宅を訪れ、「同じような家に住もうと考えているが、親が足が不自由なので間取りを見せてほしい」などと言って上がり込み、女性が台所に行ったすきに約1000円入りの財布を盗んだ疑い。
「電話をしたい」などと女性に50円玉の両替を求めて財布の位置を確認するなど、親切心を逆手に取ったという。上がり込んだ家で応対した人が若かったり、警戒心が強い場合にはあきらめて立ち去り、親切な老人を狙ったらしい。
同署はこれまでに、36件の計約82万円について裏付けを終えたが、容疑者は消費者金融からの約300万円の借金返済に充てていたという。
今年8月に借金に訪れた親類方で、すきを見て約1万円入りのバッグを盗んだのがきっかけになり、犯行を繰り返したといい、「申し訳ないことをした」と反省しているという。
この事件は、自分の身内のなかで成功した犯罪がきっかけとなった、そして、間に暗闇が差し込み、犯罪の連鎖に滑り込んでいった。きっかけをどのように利用するか、その者の胸のうちのこと、預かり知れないものがある。犯罪心理として、犯罪者の反応にも、上がり込んだ家で応対した人が若かったり、警戒心が強い場合にはあきらめたという。しかしこれは逆に個人の防衛策になるだろう。
これも、親切な一人暮らしの老人はこうして狙われる一例に過ぎない。