6 アシュラリスト 敗者(a loser

体内の良心と欲望とがしのぎを削る毎日。いずれが勝っても、勝負をかけ激突しても、敵味方はっきりせず白黒つけても、敗者は結局自分自身なのだ。しかし敗者には日の差し込む敗者と暗闇から暗闇に入り込む敗者がいる。この闘いには他人はほとんど関係ない。生まれもった宿命なのだ。期待もしなければ絶望もしない。握り締めた携帯。心が通じ合うメールはない、心の表面をかすっているだけで、やがて滑り、擦れ違いに変わっていく。必死の形相でオールを漕ぐ「ボート」から少し降りて、風まかせの「ヨット」の生き方も悪くない。異様な心のあり方を変える。毒素と欲望のせめぎあい、解毒剤はなく、渇いた咽喉だけで生きている。よそ行きの正義はよそに迷い込み、焦点のボケた目がとって変わる。それぞれが正論、寛容なき不満のぶつけ合い、どこまでも折り合いはつかぬ。こんな状態で敗者復活戦など、するな。苦情、薄情、便乗、子供の遊ぶ声を騒音というメンタリティー…。

何か壊れているよ、ここでは・・・。敗者は誰?


ゼーレの眼目

「トロフィー」の語源である古代ギリシャ語の「トロパイオン」とは、敗走した敵の武器を積み上げ、神に捧(ささ)げることとされる。すなわち、トロフィーは敵を敗北させた印(しるし)を指す。そう考えると、きな臭くも、生々しくなる。

「失恋(敗北した恋愛)を積み上げ、神に捧げると詩というトロフィーになる。」こんなトロフィー(詩)があればいいと思う。

AEGIS シリーズ
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