AEGIS覚醒 SEELの姿 少年の思い:僕のすべきこと


ゼーレの眼目

「幼心がないと天国に行けない」(聖書)

第1夜から第6夜までのシリーズものです。


僕のすべきこと

-少年の思い、真っ直ぐな優しさ-

1夜 僕に何が起きたの?

眠りから覚めた少年は気がついて、回りを見渡した。

「ここはどこだろう?見たことも来たこともないところだよ。」

何気無くお腹を触ったら、

「あっ、へそがないよ!!僕は死んでしまったのだろうか?」少年はふとそんな不安を感じた。

近くに見知らぬおじさんが通りかかった。少年は勇気を出して、おじさんに聞いてみた。

「ここはどこですか?」するとおじさんは、「人は死ぬとここに来るんだよ」。ということは「僕は死んだの?」。

「さあ、それはどうかな」とおじさんは言った。

「死んだら、母ちゃんにもう会えないよ…。どうしたら、母ちゃんに会えるの。まだ母ちゃんには用事があるんだ…。」

少年は不安で泣きながら、「どうしたら生き返ることができるの?」おじさんは困惑しながら、「生き返れるかどうかわからないが、こうしてみなさい。」おじさんは優しくこう言った、「目をつぶってそのままゆっくりと後ろへ歩いてみなさい。そして、仮にもとの世界に戻ることができたとしても、決して誰かと話してはいけないよ、その時は本当に死ぬ事になるからね…」少年は神妙に聞いていた。

少年は目をつぶり、一歩一歩慎重に後ろ向きに歩いた。辺りは暗くなり、そしていつしか少年は眠りについた。

少年は街の喧噪の中、目が覚めた。少年は家から近くの交差点の傍にある公園の電車の形をしたトンネルの中にいた。ここはいつも仲間と遊んでいた場所だった。

「ここは知っているよ!いつも友達と遊んでいたんだ」

少年は自分が生きているかどうか確認するため、自分のお腹を触った。

「あっ、今度はへそがついているよ。僕は生き返ったんだ!これで家に帰れるよ、そして母ちゃんにまた会えるよ!」。

トンネルの中で希望に満ちた少年は、天国での見知らぬおじさんとの約束を思い出していた。「そうだ、僕は誰とも話しちゃいけないんだ。もし少しでも、話したら本当に死んじゃうんだから…。たとえ母ちゃんと会っても何もしゃべっちゃいけないんだ。」と少年は自分に言い聞かせた。


第1夜 終り


AEGIS シリーズ
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